冒険家、角幡唯介さんの「極夜行前」を読んだ
今まで、色々なノンフィクションに関わる賞を受賞している角幡さんですが、「極夜行」では、第1回 Yahoo!×本屋大賞 ノンフィクション本大賞、大佛次郎賞のW受賞し、今や売れっ子作家になっています。
一ファンとして嬉しい限りです。
さて、「極夜行前」について。
本の名称そのままですが、「極夜行」を行う前までのことが書かれています。
極夜行について詳しくはこちらのレビュー記事をご覧いただければと思いますが、ものすごくざっくり言うと、「北極に近い太陽が昇らない場所を犬と旅をする」というノンフィクション本です。
冒険を行う前に食料をデポしたり、一緒に旅する犬を選んだり、橇を作ったりと色々と準備をしています。
この本は、そのような極夜行の準備について書かれています。
章立ては次の通りです。
- 天測放浪
- 犬との旅
- 海象と浮き氷
「天測放浪」については、六分儀(天測して道を迷わないに現在地を把握する道具)の練習について書かれています。
こんなに時間をかけて道具の使い方を習得し、暗い極北の地でも使える工夫を重ねていたのかとびっくりしました。
それと同時に、極夜行でことの顛末を知っているので、何とも言えない気持ちになりますね。そして失礼ながらちょっと笑ってしまいました。
「犬と旅」については、極夜を一緒に旅した犬、ウヤミリックについて出会いから厳しい訓練の内容まで詳しく知ることができます。
「ウヤミリック、お前も頑張ったんだな」
とこれを読んで思いました。そして、角幡さんの育てた犬らしく、ちょっと抜けているのかなと(笑)
憎めないワンちゃんですね。
最後の「海象と浮き氷」では、例の海象(セイウチ)襲撃事件について書かれています。
極夜行、そしてこの本を読む前は、海象は鈍くてただ体がでかいだけのオットセイと思っていましたが、いやいやそこは自然に生きる動物。パワーが半端ないですね。
この本は350ページを超える大作で、極夜行のサブ本というよりも立派な一冊の面白い本でした。
極夜行を読んだ人は、その裏舞台を知る本として読んでみて下さい。
極夜行前