テント泊登山の食料計画の立て方(消費カロリー・軽量化)
日帰り登山でほとんど考えないですが、テント泊登山では食料計画が必要になります。
山行中の消費カロリーを考えつつ、どの味の食べ物を持って行くか、重量なども考慮して準備します。
目次
- どれぐらいの量の食糧を持って行くか
- 山行中の消費カロリーについて
- 登山食のカロリーについて
- 行動食のカロリーについて
- エネルギー(カロリー)が不足するとどうなる?
- 登山食の軽量化・嵩(かさ)を抑えることについて
- 登山食の食べ方の工夫
- 登山食の注意点
どれぐらいの量の食糧を持って行くか
1泊2日の登山を考えてみましょう。
1日目の午前中から登り始めたとすると、
- 1日目:昼、夜
- 2日目:朝、昼
合計4食分の食糧が必要になります。
予備食糧を1日分持って行くと、プラス3食で合計7食分の食糧が必要です。
2泊3日の場合は、
- 1日目:昼、夜
- 2日目:朝、昼、夜
- 3日目:昼、夜
合計7食、予備食3日分で合計10食になります。
こうなると、かなりの重量、嵩(かさ)になります。
予備の食糧については、山小屋で調達する手もありますので、参考内容に合わせて計画を立てましょう。
山行中の消費カロリーについて
山行中の消費カロリーはその人の体重、ザックの重量、登山道の標高差、年齢、性別などで変わってきます。
例として、テント泊、30~50歳の男性、体重65キロ、北アルプスで1日6時間の行動を考えてみます。
1日の消費カロリーは、
- 行動中(6時間):2,000~2,500 カロリー
- 非行動中(18時間):1,500 キロカロリー
合計:3,500~4,000 キロカロリーとなります。
ちなみに行動中に消費する2,000~2,500カロリーというのは、フルマラソン並みの消費カロリーです。
意識してご飯、行動食を取ることが必要になります。
登山食のカロリーについて
例として、登山食としてよく使われるアルファ化米の「サタケ マジックライス」と「アマノフーズ シチュー」を組み合わせた場合、どれぐらいのカロリーが取れるのか見てみましょう。
サタケ マジックライス 保存食 白飯 100g×4個
アマノフーズ シチュー2種セット 89g
- サタケ マジックライス1個:387 キロカロリー
- アマノフーズ シチュー1袋:99 キロカロリー
合計で 387+99 = 486 キロカロリー です。
これを1日3回食べると、486キロカロリー×3食 = 1,458 キロカロリー。
約1,500キロカロリーです。
先ほどの1日の消費カロリーをもう一度見てみましょう。
- 行動中(6時間):2,000~2,500 カロリー
- 非行動中(18時間):1,500 キロカロリー
1,500キロカロリーというのは、ちょうど非行動中の消費カロリー程度です。
このままではエネルギー不足になってしまいます。
残りの2,000~2,500キロカロリーはどのように摂取すべきでしょうか?
1回の食事量を増やすというもの考えられますが、増やせても1,500→2,000キロカロリーぐらいでしょう。
足りない分のカロリーは行動食で補うことをおススメします。
行動食のカロリーについて
ここでは例として、カロリーメイト、板チョコのカロリーを見てみましょう。
大塚製薬 カロリーメイト ブロック チョコレート 4本×10個
明治 ミルクチョコレート 50g×10個
- カロリーメイト4本:400 キロカロリー
- 板チョコレート1枚:280 キロカロリー
合わせて680キロカロリーです。
これを1日2回食べると、680キロカロリー×2回 = 1,360 キロカロリーです。
これでも、まだ不足分のカロリーに足りません。
こう考えると、意識的に行動食を取る必要性が分かります。
歩きながら行動食を食べることに慣れていない人は、日帰り登山などで練習しておきましょう。
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エネルギー(カロリー)が不足するとどうなる?
登山中に、
「何か疲れたなー」
「今日は調子が悪いなー」
と思っていたところ、飴玉を舐めたり、チョコを一粒食べたところ力が湧いてきたことはありませんか?
これはエネルギー不足に陥っていた可能性があります。
食べ物はエネルギーを生み出し、筋肉を動かす源となります。
エネルギーが不足すると筋肉が動かなくなり、脳も働かなくなり集中力が落ちてきます。
足元がおぼつかなくなってフラフラとしてしまい、滑落の原因にもなりかねません。
加えて、怖いのは低体温症です。
低体温症は夏場でも起こります。
雨や強風時は体温がどんどん奪われてカロリーを消費します。
食料はエネルギーを生み出し体温を保ちますが、エネルギー不足に陥ると体温を上げることができず、低体温症になってしまうのです。
雨・強風時は、より意識して食べ物・行動食を摂取するように心がけましょう。
ちなみにエネルギー不足に陥ると、体は蓄えられた体脂肪を使ってエネルギーを生み出します。
ただし、体脂肪を使うにも限界があり、消費エネルギーの6~7割は食べ物から取り入れないと、エネルギー切れを起こして、疲弊して行動不能に陥る危険性があります。
山行中のエネルギー・低体温症については、「トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか」と言う本がとても詳しいです。
一読することをおススメします。
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「トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか」を読んで、低体温症・気象遭難について学んだ
登山食の軽量化・嵩(かさ)を抑えることについて
テント泊では2泊3日で予備食なしで、7食必要なります。
まあまあの重量、嵩(かさ)になります。
おススメは、アルファ化米とフリーズドライの組み合わせです。
荷物が圧倒的に軽くなります。
荷物が軽くなると、山行中の消費カロリーも減ります。
それでもやっぱり、レトルト食品・缶詰は美味しいです(笑)
1食分ぐらいはそのような贅沢ご飯を準備するのもいいでしょう。
行動食は包装を外すなどして、嵩(かさ)を減らすように努力しましょう。
ゴミも減って一石二鳥です。
食用のパッキングも重要です。
登山食・行動食を袋にまとめて嵩を減らしつつ、どこに何があるか分かるようにしておきましょう。
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登山食の食べ方の工夫
山行時間が長くなる場合、朝は行動食で済ませることが多いです。
フリーズドライなどのご飯は作って食べるのに時間がかかります。
なので、少しでも朝早く出発できるように行動食にします。
その場合、前日の夜は多めにご飯を食べるようにしています。
また、ご飯を作る時に時間がかかるのが、お湯を作る作業です。
昼食時にをつくるのににお湯が必要だと分かっていれば、朝にお湯をテルモスなどの水筒に入れおきます。
そうすることで昼にお湯を沸かす作業が必要なくなり、時間を節約することができます。
登山食の注意点
最後に登山食の注意点を2つ。
一つ目は、あまり奇抜な食べ物を持って行かないこと。
口に合わず食べれられなかったり、山行中に気持ち悪くなったりしないように、食べ慣れてる物・好きな物を持って行きましょう
二つ目は、冒頭に書いた消費カロリーです。
食料を購入する時に、その食べ物が何カロリーなのか見ましょう。
例えば、春雨などの食べ物はカロリーが低いので登山食向きではありません。
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