登山靴のベストな選び方 – タイプ別の用途と特徴を説明する
登山靴は快適に登山を行うための専用シューズです。
僕は登山靴をいくつか持っていて、山行内容によって使い分けています。
この記事では最初に「1.登山靴の基本構造」、次に「2.登山靴のタイプ別の用途・特徴」について説明します。
この2つのことを知れば、登山ショップのスタッフの方にアドバイスをもらいつつ、「自分の判断で登山靴を選べる」ようになるでしょう。
そして最後に「3.登山靴の選び方の参考」として、僕がどのタイプの登山靴を使い、どのような山に登っているのかを紹介します。
目次
- 登山靴の基本構造
- 登山靴のタイプ別の用途・特徴
- ハイカットシューズ
- ローカットシューズ
- 縦走用ハイカットシューズ
- 選び方の参考:僕の登山靴と登った山
1.登山靴の基本構造
登山道では沢や水たまりがあったり、枯れ葉・石が落ちていたり、砂場・岩場があったりとバラエティーに富んでいます。
登山靴は、そのような登山道でも快適に歩けるように工夫がされています。
それでは早速、登山靴の基本構造を見ていきましょう。
- トゥーガード:硬い素材で作られていて、石や岩などに足先をぶつけた時にガードする。
- アッパー:ミッドソールより上の部分。革が使われることもあるが、最近はゴアテックスなどの防水透湿性素材が主流となっている。
- ミッドソール:アウトソールの上にあり、クッション機能・ショック吸収機能を持っている。
- アウトソール:多くがゴム混合素材で作られていて、滑りにくく耐久性がある。登山靴の場合、一般の靴と比べて厚みがあり固い。
- アンクルサポート:石ころ、木の枝、水などが靴の中に入ってくることを防ぐ。また足首を保護する。
- ヒールガード:石や岩からかかとをガードする。
- コバ(雪山用):雪山で歩く際にアイゼン(鋭い爪の付いた道具)を装着するための機能。
簡単ではありますが、これが登山靴の基本構造です。
各機能について知ることで、登山靴を選ぶ際に見るべきポイントが分かったと思います。
次の章では「登山靴の3つのタイプ」を紹介し、その特徴(長所・短所)を説明していきます。
2.登山靴のタイプ別の用途・特徴
登山靴には3つのタイプがあります。
下はそれぞれのタイプ別の用途、特徴を簡単にまとめたものです。
- ハイカットシューズ
- 用途:日帰り登山、小屋泊
- 長所:軽い、防水性能
- 短所:蒸れやすい
- ローカットシューズ
- 用途:日帰り登山
- 長所:とても軽い、蒸れにくい
- 短所:防水性なし、足首のサポートなし、石ころが靴の中に入る
- 縦走用ハイカットシューズ
- 用途:テント泊、高山・ガレ場歩き
- 長所:足全体のガード、足裏が痛くなりにくい、防水性能
- 短所:重い、蒸れやすい
それでは、各タイプの登山靴について詳細に説明していきます。
ハイカットシューズ
ハイカットシューズは登山で最も一般的なタイプです。
トレッキングシューズと聞いて、この形をイメージする人も多いでしょう。
基本的な機能を網羅しているので、登山初心者の方が最初に買う登山靴としておすすめです。
- 用途:日帰り登山、小屋泊
- 価格:1~2万円前後
- 長所:軽い、防水性能
- 短所:蒸れやすい
僕も最初に買った登山靴は、このハイカットシューズでした。
同じハイカットの縦走用登山靴と比べると軽く、ソールに柔軟性があって歩きやすいです。
日帰り登山や小屋泊に適していて、様々な登山道、天気に対応できる登山靴です。
ハイカットシューズの特徴
ハイカットシューズはアッパー部分が防水素材できていることが多く、沢沿いの道、雨天でも靴の濡れを気にすることなく軽快に歩けます。
それから、アンクルサポートで足首までおおわれているため、石ころや枝が靴の中に入ることも少なく、ストレスなく歩くことができます。
登山道は岩・枝・落ち葉があったり、雨が降るとまた道の様相も変わる
どの登山靴にもある機能ですが、ハイカットシューズにもトゥーガード・ヒールガードが付いています。
山の中では石が散乱し、太い木の根っこが地面から飛び出していることがあります。
ガードがあれば、間違って石や根を蹴ってしまっても足を痛めることはありません。
ハイカットシューズのソールの張り替えについて
長く登山靴を使ていると、ソールが擦り減ってきます。
ソールの擦り減るスピードは、良く行く山の登山道の状態や登山の頻度、歩き方によっても変わります。
ソールが擦り減ると、濡れた岩や木の根では滑りやすくなり危険です。
ハイカットシューズはソールの張り替えができないことがあります。
長く使いたい場合は、ソールの張り替えが可能か店員さんに聞いてみましょう。
ローカットシューズ
ローカットシューズは登山靴の中では最も軽く、速く歩くことができます。
一方、短所も多いため、登山の経験を重ねた人がハイカットシューズの次に買うのがいいでしょう。
- 用途:日帰り登山
- 価格:1~2万円前後
- 長所:とても軽い、蒸れにくい
- 短所:防水性なし、足首のサポートなし、石ころが靴の中に入る
ローカットシューズもハイカットシューズと同じくソールに柔軟性があり、歩きやすいのが特徴です。
また、通気性が良くなるようにとアッパー部分は防水素材が使われてないことも多いです。
そのため、天気の読みやすい日帰り登山におすすめです。
最近はトレイルランニング(山の中で走るスポーツ)の人気が上がってきていることもあり、「ローカットシューズ = トレイルランニングシューズ」というように分類されることが多くなっています。
ローカットシューズの特徴
ローカットシューズは一見、普通のランニングシューズのように見えますが、登山道で快適に歩けるような特徴を持っています。
足先、かかとには岩から保護するためのトゥーガード、ヒールガードが付いていて硬いです。
また、ソールの裏側も滑りにくいように工夫がされいます。
一方、防水性能を省いているため、雨天や沢を歩く場合は靴の中が濡れてしまいます。
そのため、地図や天候から登山道の状態を推測し、ローカットシューズを選ぶべきかどうかが判断できなければ、靴をびしょびしょに濡らして歩くはめになってしまいます。
通気性を上げるためにアッパー部分の防水性を省き、適度に空気が通る穴があいていることが多い
また、アンクルサポートがないために足首が自由に動かせます。
ハイカットシューズとは違って足先を細やかに動かせる利点がありますが、足首周りが露出しているために岩などで打った場合は痛いです。
ローカットシューズのソールの張り替えについて
ローカットシューズはソールの張り替えができないことがほとんどです。
使い捨てと心得てシューズを購入しましょう。
価格の高いローカットシューズは長く使いたいと思いますので、購入する際は念のため、店員さんに張り替えが可能か聞いてみましょう。
縦走用ハイカットシューズ
縦走用ハイカットシューズは登山靴の中では最も頑丈です。
一方、重量が重いためにハイカット・ローカットシューズと比べると、歩く軽快さは劣ります。
- 用途:テント泊、高山・ガレ場歩き
- 価格:2~4万円前後
- 長所:足全体のガード、足裏が痛くなりにくい、防水性能
- 短所:重い、蒸れやすい
アウターソール、ガードが堅牢に作られているため、日本アルプスのような高山でのガレ場、岩場歩きに向いています。
また、荷物が多くなるテント泊にも最適な登山靴です。
縦走用ハイカットシューズの特徴
基本的な構造はハイカットシューズと同じで、防水性・アンクルサポートの機能を持っています。
縦走用シューズは日帰り用のシューズと比べると各パーツに強度があり、より過酷な状況でも耐えられるようになっています。
足先やかかとだけでなく、シューズの側面にもガードがある場合も。またアッパー部分もより頑丈な素材が使われることが多い。
北アルプスのような高山ではガレ場(岩稜地帯)が多く、足を岩にぶつけることが良くあります。
そのような場合でも、頑丈な縦走用登山靴であれば痛み、怪我のリスクを軽減できます。
また、これは見た目には分かりませんが、縦走用シューズはものすごくアウトソールが硬いです。
そのために石ころや木の根を踏んでもその感触が薄く、足裏が疲れにくいです。
一般的なハイカットシューズ、ローカットシューズはソールを手で曲げることができます。
ソールが柔らかいことで歩きやすさは増しますが、足裏で地面の凹凸を感じとることになります。
このようなソールでは、重い荷物を背負って長い間歩くテント泊では、足つぼマットをはだしで何時間も踏んでいるようなものです。
足裏が痛くなり、マメができるリスクも高まることになります。
縦走用ハイカットシューズのソールの張り替えについて
ガレ場などの岩稜地帯、険しい山で履くことの多い縦走用ハイカットシューズはソールの擦り減りも早いです。
特に岩場は雨で濡れると滑りやすく、高山で滑ると致命的になりかねません。
ソールの状態には気を配りましょう。
縦走用ハイカットシューズの場合はソールの張り替えができることが多いですが、店員さんに張り替え可能か聞いておきましょう。
また、ソールの張り替えは長いと数か月かかることがありますので、張り替えは靴を使わない冬場に行うなど、そのタイミングに注意しましょう。
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さて、ここまで登山靴の構造・タイプ別の特徴を書いてきました。
どのような登山靴が自分に良さそうか、選ぶ時に見るべきポイントがつかめたのではないでしょうか。
もう一つ、登山靴選びで大切なことに「自分に足の形に合った登山靴かどうか」を確かめる必要があります。
それには、次のことを知っておくといいです。
- 登山靴のメーカー・ブランドによって靴の形が違う
- 登山靴は専門家がいる登山ショップで買う
- 登山用の靴下をはいて、登山靴を履く
詳しくは「登山靴選びにまつわる失敗談をお話しする」をご覧ください。
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選び方の参考:僕の登山靴と登った山
ここからは、僕の登山靴と登った山を靴のタイプ別に紹介していきます。
ハイカットシューズ
登山を本格的やるようになり、初めて買った靴はキャラバンのハイカットシューズでした。
今はもう履いていませんが、ゼビオでこのシューズを試して即購入。
日帰り登山では奥多摩の川苔山、丹沢の大山、塔ノ岳、鍋割山、檜洞丸などで使いました。
初めてのテント泊は北岳に登ったのですが、その時にこのシューズを使用して苦しめられました。
ソールが柔らかく足裏が痛くなり、絆創膏を何枚も貼ることに…
その後、テント泊用のシューズを買いました。
また、この時に登山の靴下の重要性にも気づいて、靴下にもお金をかけるようになりました。
ローカットシューズ
写真はラ・スポルティバのトレラン(トレイル・ランニング)用のシューズ、「AKASHA アカシャ」です。
これは2足目のローカットシューズで、この前はサロモンのシューズを使っていました。
僕はトレランをやっていませんが、荷物が軽い日帰り登山の場合はトレランシューズを使うこともあります。
登った山は丹沢の大山、仏果山、奥多摩の御岳山、高尾山、大菩薩嶺近くの笹子雁ヶ腹摺山などです。
ハイカットシューズとローカットシューズの使い分けですが、
- 暑い夏の時期に涼しく歩きたいとき
- 距離が長いコースで速いスピードで歩きたいとき
にローカットシューズを使っていることが多いです。
[スポルティバ] Akasha アカシャ
縦走用ハイカットシューズ
僕が一番履いている登山靴が、このラ・スポルティバの縦走用ハイカットシューズです。
初めてのテント泊で通常のハイカットシューズでは耐えらないことを実感し、この頑丈の縦走用シューズを買うことに決めました。
テント泊では北アルプスの穂高連峰、常念岳→燕岳縦走、雲ノ平や黒部五郎岳などの黒部源流域で使いました。
コバもついていて、残雪期で気温が高めなら雪山でも使用でき、GWの甲武信ヶ岳にはこれで登りました。
強高度な素材で作られていて、触った瞬間に頑丈であることが分かります。
ただ、最初に履いて思ったことは「重いなー」でした(笑)
トレランシューズの2倍、ハイカットシューズの1.5倍ぐらいの重さがあったので、慣れるまでは疲れました。
この靴への僕の信頼度はとても高く、今では厳冬期を除く日帰り・テント泊の登山で使っています。
LA SPORTIVA(スポルティバ) トランゴキューブ
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