登山のレイヤリング(重ね着)の基本
登山ではレイヤリング(重ね着)にとても気を配りましょう。
レイヤリングを上手に行うことで体温の急上昇・低下を防ぎ、体調不良・低体温症のリスクを減らすことができます。
目次
- 登山の基本・3層レイヤリングと体温調節
- ベースレイヤー(アンダーウェア): 肌の水分を適切に保つ
- ミドルレイヤー(中間着):熱を閉じ込める
- シェル・アウター:風・雨・雪から保護をする
登山の基本・3層レイヤリングと体温調節
登山の基本は3層レイヤリングです。
ベースレイヤー、ミドルレイヤー、シェル・アウターをうまく調整して、体温を調節します。
これらについては後ほど、詳細に説明します。
さて、レイヤリングが上手になるには、どうすればいいでしょうか?
それは登山時の体温が変化について、その要因を知っておくことです。
そうすれば、先の行程を予測してレイヤリングをすることができ、適切な体温を維持し、安心・安全な登山を行うことができます。
登山時の体温変化の要因は大きく分けて次の2つです。
・内部要因による体温変化
・外部要因による体温変化
内部要因による体温変化
内部要因とは、体のエネルギーを消費することで体温が上下することです。
山を登っている時にはエネルギー消費が大きく体温が上昇し、休憩時には体温が下がります。
下山時もある程度エネルギーを消費しますが、登っている時ほどではありません。
山の高さや道の険しさによってもエネルギー消費量・体温の上昇の程度は違ってきます。
なだらかな坂が続くようなハイキングに近い登山と、3千メートル級の急峻な山に登るのとでは後者の方が体温がより上昇します。
外部要因による体温変化
登山のレイヤリングを難しくするのは、外部要因によることが大きいです。
山の天候は崩れやすく、また突然の雨・強風に見舞われることがあり、調節を難しくします。
また、山の気温は山の高低・季節によって違いますし、同じ山でも樹林帯と森林限界を超えた尾根とでは風の状況が大きく変わります。
雨、風、霧など山では様々な天候に見舞われます。その状況に応じて適切なレイヤリングが必要になります
ベースレイヤー(アンダーウェア) :肌の水分を適切に保つ
ベースレイヤーは肌に直接着るものです。汗を吸収して素早く発散し、肌を快適な状態に保ちます。
暑い夏の登山には肌の体温を下げ、寒い冬の季節には温かくなるように調節します
登山時に肌に直接着るベースレイヤーは、綿の素材ではダメです。
綿は汗を吸収しても発散しないため、常にべとべとして体温の低下を招きいて低体温症のリスクを高めます。
素材はメリノウールや化学繊維を使ったものがベストです。
素早く汗を吸収・発散します。メリノウールの場合は汗の臭いもほとんどしません。
これは下着や靴下にも言えることです。
◆参考記事
・登山のベースレイヤー(アンダーウェアー・下着)の選び方
・僕がおススメする登山の靴下について
ミドルレイヤー(中間着):熱を閉じ込める
ミドルレイヤーは体から発生した熱を保持します。
ミドルレイヤーとして良く使われるのはフリースです。
フリースはポリエステルのような化学繊維でできていて、軽くて濡れてもすぐに乾きます。
夏の登山で使うフリースは暖かさよりも通気性が重視され、寒い季節に使うフリースは生地が密集して温かくなるように工夫されています。
登山で使われるフリースと街着のフリースは構造が違います。
街着のフリースは裏地がコーティングされていて体温・水分を外に逃さないようになっていることが多いです。
一方、登山用のフリースはベースレイヤーから出た水分を効果的に対外に放出し、適度な温度を保つように設計されています。
フリース以外のベースレイヤーとして、ウールのシャツや薄手の中綿ジャケットなどがあります。
登山のコンディションに適したものを選びましょう。
◆関連記事
僕が登山で使っている中間着、パタゴニアのRフリースジャケット レビュー
シェル・アウター:風・雨・雪から保護をする
登山のシェル・アウターは風・雨・雪からのダメージを軽減します。
登山用のほとんどのアウターは、雨・風の侵入を防ぎ、適度に汗を体外へ発散する作りになっています。
そのため、街できるカッパなどの比べて性能が高くて高価です。
アウターは厳しいコンディションの中では最も重要なアイテムです。
適切なアウターでなければ、体温を奪われて低体温症のリスクが高まります。
シェル・アウターにはいくつか種類があります。
最も良く使われているのがハードシェルです。
シャカシャカとした素材でできていて、風・雨・雪の侵入を防ぎます。
軽くてコンパクトなものが多く持ち運びも便利です。
高度な防水性と透湿性を備えたゴアテックス素材のハードシェルは様々メーカーから販売されています。
ただし、値段が高いため、各メーカー独自の防水・透湿性を備えたより値段の安いシェルを販売していることが多くなってきました。
ハードシェルに比べて柔らかな素材で着心地が良く、透湿性が高いのがソフトシェルです。
ただし、防水性はハードシェルに劣り、豪雨には対応できません。
メジャーなアウターではありませんが、天気の良い冬場に着る人が多いシェルです。
◆関連記事
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