登山の服装・レイヤリング(重ね着)の基本
登山はどのスポーツ・レジャーよりもその服装・レイヤリング(重ね着)に気を遣うと言えるかもしれません。
服装の選択・レイヤリングを上手に行うことで、体温をコントロールできます。
そのことにより体調不良・低体温症のリスクを減らして快適に登山を行うことができるのです。
ただし、登山の服装・レイヤリングは簡単ではありません。
服装の不備・知識が原因で低体温症による行動不能・死亡という事故は幾度となく起こっています。
登山時の体温変化について
登山時の体温変化の要因は大きく分けて以下の2つがあります。
・内部要因による体温変化
・外部要因による体温変化
内部要因による体温変化
山を登っている時はエネルギー消費が大きく体温が上昇し、休憩時には体温が下がります。
下山時もある程度エネルギーを消費しますが、登っている時ほどではありません。
また、登る山の高さや道の険しさによってもエネルギー消費量・体温の上昇の程度は違ってきます。
なだらかな坂が続くようなハイキングに近い登山と、3千メートル級の急峻な山に登るのとでは後者の方が体温がより上昇します。
外部要因による体温変化
登山のレイヤリングを難しくするのは、外部要因によることが大きいです。
山の気温の上下、雨・風・雪など気象変化は不規則に、また突然に起こることも多く体温の調節を難しくします。
山の気温は山の高低・季節によって違いますし、同じ山でも樹林帯と森林限界を超えた尾根とでは雨・風の状況が大きく変わります。
雨、風、霧など山では様々な気象条件に見舞われます。その状況に応じて適切なレイヤリングが必要になります
ベースレイヤー(アンダーウェア) 肌の水分を適切に保つ
ベースレイヤーは肌に直接着るものです。汗を吸収して素早く発散し、肌を快適な状態に保ちます。
暑い夏の登山には肌の体温を下げ、寒い冬の季節には温かくなるように調節します
登山時に肌に直接着るベースレイヤーは、綿の素材ではダメです。
綿は汗を吸収しても発散しないため、常にべとべとして体温の低下を招きいて低体温症のリスクを高めます。
素材は化学繊維やメリノウールを使ったものがベストです。
素早く汗を吸収・発散します。
メリノウールの場合は汗の臭いもほとんどしません。
◆参考記事
・登山のベースレイヤー(アンダーウェアー・下着)の選び方
・僕がおススメする登山の靴下について
ミドルレイヤー(中間着)熱を閉じ込める
ミドルレイヤーは体から発生した熱を保持します。
ミドルレイヤーとして良く使われるのはフリースです。
フリースはポリエステルのような化学繊維でできていて、軽くて濡れてもすぐに乾きます。
登山用のフリース着はベースレイヤーから出た水分を効果的に対外に放出し、適度な温度を保つように設計されています。
そのため、街着のフリースに良くあるように、裏地にラミネートコーティングがされていません。
フリースの他のミドルレイヤーとしては、ウールのシャツや薄手の中綿素材のベースレイヤーがあります。
薄手の中綿素材のものはベストや長袖のものなど様々です。
登山のコンディションに合わせて選びましょう。
◆関連記事
僕が登山で使っている中間着、パタゴニアのRフリースジャケット レビュー
シェル・アウター 風・雨・雪から保護をする
登山のシェル・アウターは風・雨・雪などからのダメージを軽減し、雨・風の侵入を防ぎ、適度に汗を体外へ発散する作りになっています。
そのため、街できるカッパなどの比べて性能が高くて高価です。
アウターは厳しいコンディションの中では最も重要なアイテムです。
適切なアウターでなければ、体温を奪われて低体温症のリスクが高まります。
シェル・アウターにはいくつか種類がありますが、人気があるのはハードシェルです。
シャカシャカとした素材でできていて、軽くてコンパクトなものが多く持ち運びも便利です。
高度な防水性と透湿性を備えたゴアテックス素材のハードシェルは様々メーカーから販売されています。
ただし、素材の値段が高いため、各メーカー独自の防水・透湿性を備えたより値段の安い、性能はゴアテックスと同等なシェルを販売することが多くなってきました。
もう一つ、ソフトシェルを紹介します。
ハードシェルに比べて柔らかな素材で着心地が良く、透湿性が高いのが特徴です。
一方、防水性はハードシェルに劣るため豪雨には対応できません。
雪は問題ないので冬場に着る人が多いのが特徴です。
◆関連記事
・登山用インサレーションウェアの選び方
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・僕の日帰り登山の「持ち物・装備」を詳しく写真で紹介する