山岳テントのベスト選び方 – 見るべきポイントを説明する
山岳テントを選ぶのは簡単ではありません。
安い買い物じゃないし、買ったら長く使うことになります。買った後は後悔したくないですよね。
自分にベストなテントを選ぶためには、前提としてテントの種類、その特徴やメリット・デメリットを知っておく必要があります。
その上で自分の目指すテント泊スタイルに合ったものを選ぶといいです。
この記事ではまず、山岳テントの種類と特徴を紹介して最後に選ぶ際のポイントについて説明していきます。
燕山荘前のテント場。テント泊を始めると楽しいことがいっぱいあります!
目次
山岳テントの種類について
山岳用テントとは?
最初に山岳用テントについて軽く触れます。
山岳テントは、家族でキャンプでするような大型テントとは違いザック(登山用リュック)に入れることを想定して作られているので軽くて小さくまとまります。
また、悪天候にも耐えられるように頑丈な作りになっていて、機能性に優れた素材が使われることが多いのですが、一般的なテントと比べて値段が高くなります。
山岳テント | 大型テント | |
重量 | 軽い | 重い |
耐久性 | 高い | 低い |
価格 | 高い | 安い |
快適性 | 悪い | 良い |
山岳テントの王道!ダブルウォールテント
まずは、メジャーなテントとして、3シーズン用テント(春夏秋用)のダブルウォールテントついて説明します。
ここでは、僕も持っている、テント場で良く見かけるモンベル(mont-bell) ステラリッジテントを例に紹介したいと思います。
下記の画像のように外側が黄色のシートで覆われていますが、これがフライシート(レインシート)と呼ばれているもので、ダブルウォールのテントにはこのシートがついています。
ダブルウォールの本体は、防水・防風機能はないのでこのフライシートがその役目を担います。
ポールにシートを留めることで、テント本体とフライシートをつなぎぐことになります。
フライシートのチャックを閉めると本体前面とフライシートの間にスペースができるのですが、これが前室と呼ばれる部分です。
前室には登山靴やリュックなどを置くことができ、テント内を広く使うことができます。
また、雨の日など外でご飯が作れない場合は、この前室を使って料理を作ることもあります。
僕の持っているモンベル ステラリッジテント。フライシートの前部は大きく開閉できる。
ダブルウォールテントの本体について
先ほどのテント画像のフライシートを外すと下記画像のような形状をしています。
出入口部分は開閉式になっていて、上部がメッシュになっていることが多いです。
メッシュ部分を開けることで外の様子を見たり、換気をして空気の流れをよくすることができます。
本体の底部(色が紺色の部分)は防水性になっていて、本体上部の防水はフライシートがその役目を担うことになります。
テントの内側から出入口部分を見たところ
本体の左が少し出っ張っていて、穴が開いているのが分かりますか?
これはベンチレーターと呼ばれるもので、テント内の空気の流れを良くします。
出入口のメッシュ部分も開けておくとさらに風通しが良くなります。
山岳用のテントは一般的なテントと比べて換気性が良くありません。
真夏でも朝起きると、テントの内側が人体からの出る水分でビショビショに濡れていることが良くあります。
左の突起部分がベンチレーター
ベンチレーターを使い、空気の流れを調節することでテント内の湿気を軽減できるというわけです。
また、雨の日などテント内で火を使って料理をする時は、ベンチレーターのおかげで一酸化炭素中毒や酸欠防止にもなります。
ベンチレーターは絞りを使って空気の流れる量を調節でき、また、蚊などの虫が入ってこないようにメッシュがついていることが多いです。
モンベル(mont-bell) テント ステラリッジテント 1型 [1人用]
シングルウォールテントについて
ここからはシングルウォールテントについて説明します。
ダブルウォールテントと、シングルウォールテントの違いは、フライシートがあるかないかの違いです。
下記は、ステラリッジテント のシングルウォール版、モンベル(mont-bell) X-TREK マイティドーム 1型です。
シングルウォールテントはテント本体が防水・防風機能を兼ね備えていて、また、フライシートがなく雨に直接さらされるため、ゴアテックスのような透湿性を備えた素材で作られていることが多いです。
そのような先進的な素材を使っているので、シングルウォールテントはダブルウォールよりも価格が高くなります。
amazon:モンベル(mont-bell) X-TREK マイティドーム 1型 1122470 サンライトイエロー(SUYL)
シングルウォールテントはフライシートがないためダブルウォールテントよりも軽量なことが多いです。
そのため、テントの設置や撤収作業が短時間で済みます。
風が強い日、雨が降っている時、厳冬期などはこのことは大きなメリットとになります。
また、家に帰ってからテントを掃除するのも簡単です。
デメリットはフライシートがないため前室が作れないことです。
雨や雪の日などは、テント内でご飯を作ることになりますし、また荷物を全てテント内に置くことになるので、ダブルウォールに比べてテント内は狭くなります。
また、通気性もダブルウォールテントよりも劣っています。
冬用テントについて
冬用のテントというものもありますが、最近は3シーズン用のテントに『スノーフライ』と呼ばれるものを被せることが一般的になっています。
スノーフライは強度のある生地で、降雪への耐候性を高めて山岳テントを補強してくれるという特徴があります。
ダブルウォール、シングルウォールともに、これシートを被せると冬用テントに変身できるというわけです。
ダブルウォールの場合、このスノーフライを使うときは、フライシートは被せません。
スノーフライは写真のように帯広状になっているが、この部分はスノースカートと呼ばれています。
この部分に雪を被せることによって、風雪がテント内に入るのを防ぎテント内を温かくなります。
逆に風雪を防ぐことができるぶん、通気性が悪くなります。
そのため厳冬期などテント内でご飯を作るために火を使う場合、酸欠や一酸化炭素中毒の危険が高まります。
スノーフライは防水加工がされておらず、通気性がある素材で出来ていてその危険性を軽減します。
ただし、防水加工されていないので、雨が降ると大変なことになっちゃいます(笑)
雨が降る可能性のある山に行く場合は、スノーフライとフライシートの両方を持っていくのがいいです。
参考画像:モンベル(mont-bell) ステラリッジ1型用スノーフライ サルファーイエロー 1122429 SLYL 1122429
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おすすめは自立式テント!
先ほど紹介したモンベルのテントは、自立式(自立型)テントと呼ばれています。
自立式テントは、ポールをテントの本体に通すとテントが広がり立ち上がり、また、ポールがテントの骨格となっているので、テントがしっかりと張れて強い風に耐えることができます。
一方、トンネル型テントのような非自立型のテントは、テント本体に半円系のポールに通し、テントの両側を張り綱で引っ張ることによってテントを張ります。
このタイプのテントは、テント全体がポールで支えられていないので風に弱いです。
また、播綱でテントを張ることが前提なので、日本の山のようにテント場が狭いことが多い場合は向いていません。
amazon:カリマー (Karrimor) Bobcat 2 Tent バックパッキング 2人用 軽量 テント [並行輸入品]
このタイプのテントは、通常のキャンプ場やロングトレイル、強風が吹かない稜線から外れたテント場や比較的低い山であれば快適に過ごせます。
テントの出入口について
出入り口がモンベルのステラリッジとは違い、テントの広い面についているものがあります。
このタイプのテントは、入口が大きいのでテントの出入りにストレスがなく、また、前室も大きく取れるので快適に過ごすことができます。
ただし、入口が大きいためステラリッジのようなテントと比べると風に弱いく、保温性も低くなります。
ただ、この快適性はとても魅力的です。強風が吹かないような場所であれば選択肢としてありです。
MSRのエクリサー2@上高地 快適性はモンベルのステラリッジより数段上です
MSR 軽量 テント エリクサー2 ホワイト [2人用] 【日本正規品】 37762
素材について
山岳テントの場合は、ナイロン製かどうかチェックしましょう。
ナイロンは磨耗に対してとても強く、また燃えにくく軽いのが特徴的です。
安いテントの場合、ポリエステル製の場合がありますが、ナイロン製に比べて耐久性が低いので長く使えません。
また、テント泊の場合、雨の日にテント内で火を使って料理をする場合がありますが、ポリエステルは燃えやすいので山岳テントには向いていません。
テントを長く、安全に使いたいのであれば購入前に素材を確認しましょう。
山岳テントを選ぶポイント・基準は?
ここまで山岳テントについてその種類、特徴を書いてきましたが、ここからはテントを選ぶポイントについて書いていきます。
あなたが今後やりたいテント泊をイメージしながら読んでみてください。
重量とパッキングサイズ
重量は付属品(ポールやペグ)を含めたものをチェックしましょう。
テントだけなら数百グラムの差かもしれませんが、そのほかグッズも軽量化にこだわれば、最終的には数キロ軽くなるかもしれません。
サイズはパッキングした時にどれぐらいの大きさになるか確認しましょう。
届いた時にあなたのザックに入らないことに気づいたら、返品するか、新しいザックを買うか、その時のテント泊を諦めることになるかもしれません。
設置・撤収の容易さ
ポールをいくつも組み合わせるようなテントは、設置するだけでくたびれてしまいます。
特に雨が降ったり、風が強い日は設置・撤収のしやすさがいかに大事か身に染みます。
耐久性
自立式なのかどうか。強い風、どしゃぶりの雨に耐えられるか。素材は何でできているかチェックしましょう。
快適性
テントの広さ、高さはどうか。一人用テントか、二人用か。前室は必要かどうか。
適応性
山もテント場もその気象条件は様々です。
道が険しかったり、風が強かったり、テント場が狭かったり。
もし、色々な季節に色々なタイプの山に行くのなら、おそらく、軽くて丈夫ですぐに張れるテントが必要になるでしょう。
例えば、冬の雪山にも挑戦したいならシングルウォールテントがいいかもしれません。
何故なら、シングルウォールはフライシートがない分、ダブルウォールに比べて細かな作業が必要ありません。
そのことで設置や撤収が短時間で済ますことができますし、気温がマイナスになるような山ならそのことで凍傷のリスクを軽減できます。
デザイン性
これは気に入ったものが全てです。でも、安全で快適に登山・テント泊ができることを第一に考えましょう。
登山テントは色々な種類があって選ぶのが悩ましいですね。
是非、テント選びに悩みに悩んで、自分の山行スタイルにあったもの見つけてください。
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