登山用テントの張り方・設置方法を説明する
登山用テントの設置方法はテントによって様々ですが、基本的な張り方・テクニックは同じです。
この記事ではテントをスムーズに張れるように、設営方法の基本や気を付けるポイントについて説明します。
テントの設営場所については、「山岳テントの設営場所で気を付けたいこと」をご覧ください。
目次
- 登山テントの張る前に
- テントの設置場所を決める
- テントの張り方の基本的な流れ
- テントの設営が完了したらすること
登山テントの張る前に
まずは次のことを実施して、テントの基本的な設営方法を頭に入れ、当日にスムーズにテントを立てられるようにしておきましょう。
- 説明書を読んで張り方を理解する
- 家でテントを張ってみる
- 家でテントを収納してみる
いきなりテント場でテントを張ってはいけません。
実際にテント場に着いたら風が強いかもしれませんし、雨が降っているかもしれません。
もしかしたら予定より歩くのが遅くなり、日が落ちているかもしれません。
山に行く前に説明書を手に取らなくても、テントが張れるようになっておく必要があります。
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雨・強風下でのテントの設置・撤収の方法
テントの設置場所を決める
テント場に着いて受付を済ませたら、テントを設営する場所を選びましょう。
その際、気を付けるポイントがあります。
- テントは平らなところに張る
- 風に気を付ける
- ペグが打てるか確認する
- 川・沢の近く、崖下はテントを張らない
- 登山道の近くはなるべく避ける
テントはなるべく平らな所に張りましょう。
ちょっとでも傾斜があると、寝心地はとても悪くなります。
また、当日の風の強さ・風向きを考えてテントの設置場所、テントの入口の向きを考えましょう。
詳しくは、「山岳テントの設営場所で気を付けたいことを書いていく」を参考にしてください。
テントの張り方の流れ
ここからは、登山用テントとしてスタンダードなダブルウォールテント(フライシートが付いているもの)を例に、テントの張り方の基本的な流れを説明します。
ダブルウォールテントの多くは次のような一式がセットになっています。
- テント本体
- フライシート
- 折り畳み式ポール2本
- ペグ
まず、折りたたまれたポール2本を組み立てましょう。
先にテント本体を広げてしまうと、ポールを組み立てている間にテントが風で飛ばされないかと気になるので、先にポールを組み立てておくといいです。
ポールを組み立てたら、テント本体を収納袋から取り出して地面に広げましょう。
グラウンドシート(テントの下に敷くシート)がある場合は、先にグラウンドシートを敷き、四隅を石で押さえておきます。
またこの時、フライシートは風で飛ばされないようにザックの中に入れるか、石などで押さえておきます。
また、テントを広げる地面に小石があればどけておきましょう。
次に、2本のポールをテント本体の穴に通していきます。
多くの場合、上の写真のようにポールを上下に交差させるような形となりますが、下に交差するポールを先に穴に通した方が組み立てやすいです。
ポールを穴に通したらポールの先をテント本体の隅にある穴にセットします。
そして、対角線上にあるテントの隅の穴にもう一方のポールの先を入れます。
ここがテント設営で最も力がいるところです。
2本ともポールを組み立てると、上記のような状態となります。
最初にテントを張ろうとした位置からずれている場合は、ここで修正しておきます。
場所が決まったら、テントの中にザックやその荷物を入れてしまい、風で飛ばされないようにしましょう。
テントを立ち上げると風の抵抗を受けやすくなり、強風の場合、テントが飛ばされてしまう恐れがあるので注意が必要です。
次にフライシートをテント本体に被せて固定します。
フライシートは表裏を間違わないようにし、またテントの入口とずれていないか確認しましょう。
最後にテント本体を地面に固定していきます。
まずは、テント本体の四隅をペグを使って固定します。
地面が固い場合は、石を使ってハンマーを使う容量で地面にペグを打ち込みます。
この時、手を打たないように注意しましょう。
テント本体を固定したら、次にフライシートを地面に固定していきます。
フライシートはテント内の水分を受け止め、それをテントの天井を伝って外に逃がす役目があります。
そのため、フライシートがテント本体とくっつかないように、しっかりと張りを保った状態で地面に固定します。
ここが、テント設営時の重要ポイントです。
人体は起きている時、眠っている時も汗や息により水分を放出します。
夏でもテント内は結露しますので、ここでフライシートの設置をうまくできないと、テント内に水が落ちてきてシュラフを濡らしてしまうことなります。
シュラフは濡れると暖かさを失いやすく、また乾きにくいです。
岩板質のようなペグが打てない地面の場合は、石や周辺の木などを利用してテントを固定します。
そのようなテント場では、以前にテント泊していた人が置いていった大きな石ころが転がっているはずです。
もし、風が強い場合はさらなる補強をしておくと安心です。
通常、テントには細引き綱を通す穴が付いていて、地面との固定ポイントを増やせる仕組みになっています。
細引き綱は付属していないこともあるので、その場合は別途購入が必要です。
MSRの細引き綱はアジャスターがついていて長さの調節が簡単です。
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・テント場について知っておくべき10のルール・マナー
テントの設営が完了したらすること
テントの設営が完了したら、すべての荷物をテント内に入れていきます。
この時、登山マットを先に敷いておくと、テント内でバタバタせずに済みます。
整理用サックがあると、荷物の整理をしやすくテント内を広く使えるのでおすすめ。
整理用サックについてはこちらの記事を参考にしてください。
あくまで僕の例ですが、テントを設営したら次のようなことをします。
- ランタンをカラビナを使って天井に取り付ける
- ヘッドライトなど早朝に使いそうなものをテント内ポケットに入れる
- 料理道具、サンダルを前室(テントの入口)に置く
雨や強風時に道具を外に置いていると濡れたり、また、風で飛ばされて紛失する可能性があるので、テントの中に入れておきましょう。
「前室において置けば、雨でも濡れないだろう」、何て思ってはいけません。
特に登山靴は一度濡れてしまうと乾きにくく、次の日に不快な思いで歩かなければなりません。
登山靴など汚れが付いているものはビニール袋に入れると、テント内が汚れずに済みます。
夜になると暗くなって物が探しづらくなるので、翌朝に使う物は明るい内に取り出しておきましょう。
ここからは、眠るまで自由時間です!
料理を作ってビール片手にごはんを食べるのもよし、散策に出掛けて写真を撮るのもよし、疲れたので眠るのでもよし(笑)
ただし、翌日の行動を見据えて、テント場ではやっておきたいことがいくつかあります。
それについては、「テント場に着いたらやるべきこと」をご覧ください。
・初めての登山テント泊「初心者ガイド」
・春・夏・秋季(無積雪期)2泊3日テント泊登山の装備・持ち物一覧を紹介
・テント泊に使うザックの選び方
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