僕のテント泊の雨対策を書いていく
テント泊をやっていると雨にさらされることは割と良くあります。
僕も小雨の山行なら数知れず、大雨の中に歩くことになり、テント設営が辛かった思い出もあります。まあ、そういう辛いことの方がいい思い出になったりするんですけどね(笑)
さて、テント泊の雨対策としては次のことを考えましょう。
- 雨対策の装備・道具
- 装備・道具の濡れを防ぐ
- 体の濡れを防ぐ
- 視界不良中の道迷いを防ぐ
- 便利グッズで物を乾かす
- 雨を考慮した計画
- 天気予報を注視する
- 増水ポイントを見極める
- エスケープルート・予備日を考慮する
雨対策の装備・道具
テント泊では森林限界を超える2千メートル、3千メートル級の山を登る人も多いでしょう。
森林限界を超える山になると周りに雨を防ぐ木々がないため、雨を直接受けることになり、逃げ場がありません。
また、そのような場所は風が強い傾向にあり、時には強烈な雨を浴びることになります。
そのため、雨を防ぐ装備は万全に揃えたいところです。
雨対策の装備や道具は、雨の山行中に「装備・道具の濡れを防ぐもの」、「体の濡れを防ぐもの」、「視界不良中の道迷いを防ぐもの」、テント場で「物を乾かす便利グッズ」があります。
装備・道具の濡れを防ぐ
登山の道具装備品、例えばシュラフをびしょびしょ濡らすことになってしまったら…
考えただけで恐ろしいですね(笑)
そんな時に役立つのがザックカバー、収納用サックです。
ザックカバーは、テント泊では一回り大きいサイズを選ぶことをおすすめします。
なぜなら、ザックの外側にはスリーピングマットを付けたりと、容量以上にサイズが大きくなることがあるからです。
僕は65リットルのザックに80リットル用のザックカバーを用意しています。
ただし、あまりに大きすぎるものを選ぶと、ザックにフィットせずに強風で飛ばされることも考えられるので注意が必要です。
目安としてはザックの容量+10~15リットルぐらいを選ぶといいでしょう。
サックについては「パッキングの応用と工夫」で説明しましたが、物を整理する時に役立つだけでなく、防水性能のサックを選ぶことで登山装備の濡れを防ぐ効果もあります。
登山用のサックはほとんどは防水性になっています。
これに物を入れることで「ザックカバー+サック」の強固な壁ができ、雨の濡れから物を守ることができるという分けです。
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最低でも着替え用の衣類など、絶対に濡らしたくない物はサックに入れておくことをおすすめします。
また、シュラフなどの収納袋は防水性があることがほとんどですが、念のため防水性能の有無を確認をしておきましょう。
体の濡れを防ぐ
テント泊をしようとしている人なら、登山をやっているでしょうから次の道具は持っているでしょう。
- レインジャケット・レインパンツ
- ゲーター
- ゴアテックスなどの防水性能のある登山靴
これらは必ず持参しましょう!
テント泊山行はとても天気が読みにくいですし(読めないと思ってください)、高山となると地上では晴れでも山の上では雨が降っていることは良くあります。
地上から山を見上げると、その山の上の方だけ雲がかかっていることがありますよね。そこでは雨が降っている可能性があると思ってください。
これらの道具は持っているだけでは駄目で、正しい使い方を知っていなければなりません。
高山となると、夏の季節でも気温は10度前後。
強烈な雨や風にやられると、体感温度はマイナスの気温に匹敵します。
気を付けたいのはベースレイヤーの上にレインウェアを直接着ている場合です。
寒いと思ったらすぐに着替えましょう。
ベースレイヤーの上にフリースなどのミドルウェアを着て、その上にレインウェアを羽織ります。
大雨の場合、着替えをすることで、フリースや体が濡れることに抵抗があるかもしれませんが、すぐに着ることが重要です。
そうしないと体温が急激に下がり、「低体温症→行動不能→死亡」と最悪のことも考えられます。
高山での行動では、常に体温を下げないことを頭に入れておく必要があります。
そして、衣類で雨対策として重要なアイテムがもう一つ。
それは、ダウンや化繊などのインサレーションウェアです。
これもテント泊では必須アイテム。
暴風雨のような最悪の事態になった場合、「ベースレイヤー・ミドルレイヤー・レインウェア」の3層レイヤリングでは寒さを防げないこともあります。
そういう時にインサレーションウェアを着なかったことによって、低体温症で亡くなった事例があります。
低体温症の基礎、怖さを学ぶ場合は次の本が参考になりますので、テント泊を行う前に一読しておくことをおすすめします。
トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか (ヤマケイ文庫)
◆関連記事
・「トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか」を読んで、低体温症・気象遭難について学んだ
・僕が登山に持っていくダウンアイテムを紹介する
視界不良中の道迷いを防ぐ
大雨になると視界が20メートル、ひどい時は10メートルぐらいになることがあります。
普通の登山道であれば道に迷うことはありませんが、ガレ場など踏み後がない場所は要注意です。
そのため、地図とコンパス(もしくはコンパス付腕時計)は必須です。
僕は雨の常念岳で山頂から下山中に、ガレ場で道に迷いそうになったことがありました。
雨が降っていて、周りに目印となるものは何も見えない状況。
「岩場が急だし、何だか進んでいる方向が怪しいな」
と感じ、進むべき方向が間違っているのでは?と疑いました。
ガレ場では岩に目印が付いていますが、雨で視界が狭まったことにより、途中で目印を見失っていました。
落ち着いて地図とコンパス付腕時計を出し、歩く方角を修正することで事なきを得ました。
地図は大雨や強風の時にマップケースに入れておけば、地図が雨に濡れず、地図が飛ばされる心配も少なくなります。
必須アイテムではありませんが、テント泊の便利アイテムの一つです。
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また、帽子も雨中の登山では重要なアイテムになります。
高山で大雨にやられれた方は経験があると思いますが、雨・風が強くなるとレインジャケットのフードでは顔に雨が当たって目が開けれません。
帽子を被っていれば雨避けに役立つんです。
こういう状況もあり得るのので、個人的には登山の帽子はツバが大きめのキャップタイプがおすすめです。
◆関連記事
登山の帽子のベストな選び方 - おすすめは万能なキャップタイプ
雨のテント場での便利グッズ
雨のテント場に着いた時に活躍する便利グッズをいくつか紹介します。
- 速乾性のタオル
- 細引き綱、洗濯ばさみ
- ビニール袋
- 新聞紙
速乾性タオルは雨で濡れたレインウェア、ザック、テント等を拭くのに便利なアイテムです。
翌朝晴れたなら、タオルを使ってテントを丁寧に拭きましょう。
テントを拭くことで、ザック内にしまったテントから水が滴って道具が濡れることを防ぎます。
また、雨を拭くことでテントが軽くなります。雨に濡れたテントはすごく重いんですよ。
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細引き綱、洗濯ばさみは濡れたレインウェアをテント内で干す時に使えます。
完全には乾きませんが、こうすることで幾分かましになります。
ビニール袋は雨のテント泊で最も活躍します。
- 防水サックが足りない場合、雨に濡れた衣類・レインウェア等を収納
- 雨天時にテント内に登山靴を入れる場合に使用
もちろん、ゴミ袋の用途にも必要ですので、多めに持参しましょう。
新聞紙は靴の中が濡れた場合に使用します。
靴の中に入れるだけで、大分乾きが良くなります。
そうかさ張らないので、朝刊一日分ぐらいは持っていきましょう。
◆関連記事
・雨・強風下でのテントの設置・撤収の方法
雨を考慮した計画を立てる
テント泊では天気が予測しにくいことを書きました。
そのため、雨が降ったことを想定したサブ計画を立てたり、コース上の増水時の危険ポイントを押さえておくことが大切です。
天気予報を注視する
もし、テント場に着いて山小屋の方に明日の天気を聞いて「明日は大雨だよ」と言われたら、あなたはどうしますか?
僕なら、山小屋の方に雨が降った場合にコース上での危険個所がないか聞いてみます。
そして、明日の雨では登山を中止した方がいいか、それともこれぐらいの雨だったら問題ないのかのアドバイスをもらうでしょう。
このようなアドバイスをもらうためにも、山に入ってからも天気予報は注視しておきましょう。
山小屋では直近の天気予報が黒板に書かれていたりします。
そのような情報が書かれていない場合は、山小屋のスタッフに聞くのが一番です。
ただし、最終的な決断を下すのはあなたです。
山小屋の方は大雨・強風の中を歩いていくあなたを止めることはありません。
無理な行動をしないように、「大雨が降ったら撤退」、「テント場に留まって天気をうかがう」など事前に自分の考えをはっきりさせておきましょう。
増水ポイントを見極める
地図で歩くコースを見てみましょう。
沢沿いの道、川に掛かった橋を渡る道はありませんか?
雨になったらこれらの道は危険になりうることを意識しておきましょう。
増水した沢のパワーは圧倒的で、沢の中を直接渡るコースはとても危険になります。
また、橋がかかっていたとしても安心できません。
山中の橋は、手すりが付いていないことも良くあります。
川の流れが早ければ、ちょっとすべって川の中に落ちてしまったらアウトです。
登山中に増水した川で死亡したケースはあなたも耳にしたことがあるかもしれません。
コース上で増水した場合に危険となるポイントを見定めておき、登山前に行動を中止するかどうかを判断することが重要です。
重い荷物を背負って長いこと歩き、目の前の川が増水していた場合に撤退という決断ができず、無理な行動をしてしまいかねません。
エスケープルート・予備日を考慮する
雨天で無理な行動をするということは、そのような場合のサブプランを作っていないことに起因することが多いと思います。
予め、雨が降った場合のエスケープルートを準備しておきましょう。
エスケープルートが作れないコースの場合は、引き返すことを計画に盛り込んでおきます。
そして、最も重要なのが予備日を設けておくことです。
予備日を設けないと、
「明日から仕事だから今日下山しないといけない」
「帰りの新幹線のチケットを予約済みだから今日歩かなければならない」
という理由で、雷が鳴っている天気でも無理に歩くことになってしまいます。
僕は八ヶ岳や北アルプスに行く場合、行きの公共交通機関のチケットは予約しますが、帰りのチケットは予約することはほとんどありません。
悪天候時に無理な行動をしないためという理由もありますし、急いで下山して怪我をするのが嫌だからです。
もし、飛行機で行くような山行なら、下山後にホテルで一泊するぐらいの余裕を持った計画を立てることをおすすめします。
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