雪の赤岳に単独で挑む 色々あった八ヶ岳登山1泊2日テント泊(美濃戸口~行者小屋~赤岳)
12月14~15日に南八ヶ岳の赤岳に単独で登ってきました。
赤岳は八ヶ岳連峰の最高峰で標高2,899メートル。冬季も良く登られる人気の山です。
今回は行者小屋でテント泊。雪の八ヶ岳は去年の権現岳登山ぶり。
2日間とも天気に恵まれて、最高の山行となりました!
さらには、最後に色々あってより思い出深くなりました。
コースタイム
◆1日目(5時間)
美濃戸口(10:25)~美濃戸山荘(11:45)~行者小屋(15:25)
◆2日目(6時間55分)
行者小屋(5:35)~地蔵の頭(7:00)~赤岳山頂(8:00)~行者小屋(9:25)- 休憩・撤収 – 行者小屋(10:55)~美濃戸山荘(13:00)~美濃戸口(14:00)
茅野駅から美濃戸口へ
茅野駅から登山口のある美濃戸口へのバスは基本的に週末・休日運行。
今回は平日だったのでタクシーを使いました。
片道5千2百円ぐらい。
美濃戸口に到着後、八ヶ岳山荘で月見そばを食べてエネルギー補給!
美濃戸口から南沢を経由して行者小屋へ
美濃戸口を10時半前に出発。
本日の宿泊地である行者小屋を目指します。
平日とあって人はほとんどいませんでした。
途中、赤岳鉱泉に泊まるという2人組の男性とご挨拶。
行者小屋でテント泊をするということを伝えたら、
「こんな寒い時に外なんか泊まれるかい」と仰っていました(笑)
お二人のザックにかかっているピッケルが年季が入ってかっこよく見え、
「僕も登山道具を大切に長く使う人になりたいなー」と思ったのでした。
しばらくして、やまのこ村に到着!
空は晴れ渡り、この辺りからは阿弥陀岳の頭がひょこっと見えました。
でもここから行者小屋まで遠いんだよなー
阿弥陀岳の頭が少し見えた
やまのこ村近くの美濃戸山荘前に北沢と南沢の分岐があります。
今回は行者小屋に最短距離で行ける南沢を選択しました。
ちなみに美濃戸山荘は冬季は年末年始しか開いていません。
何度が沢に架かっている橋を渡りましたが、ところどころ沢の水が凍っていました。
徐々に道に雪も付き始めます。
こういうのを見ると、「山に冬が来た!」と感じますね。
南沢に架かる橋
クラゲのような氷
美濃戸口から行者小屋まではアイゼン無しで行きました。
トレースは付いているものの、雪は固まっておらず快適に歩けました。
美濃戸口から行者小屋までは標高差が860メートル。
冬季テント泊の荷物が詰まったザックは重く、体力的にきつかったです(泣)
ただ、南沢は危なっかしい箇所はないので、その点は安心して歩けます。
手の形に見える(笑)
一部水が凍っている場所があった
トレースはばっちり
行者小屋に近づくにつれ雪が深くなり、また標高も上がるため寒くなってきました。
ペットボトルの中身もシャーベット状に凍り始めます。
周りの景色から緑色が消え、白銀の世界に変わっていきます。
樹林帯を抜け、目の前に横岳が登場!
テンションが上がります。
「もう少しで行者小屋?うひょー」
と思いましたが、ここから結構かかりました(笑)
荷物が重くスピードが上がらなかったせいかな。
横岳のアップ画像
続けて、赤岳さんも登場です。
樹林帯抜けて、こういう感じで山を見せられたらタマラナイですよね(笑)
疲れも吹っ飛びます。
赤岳のアップ画像
そして、とうとう行者小屋に到着!
時刻は15時半頃。美濃戸口から5時間かかりましたー
眼前に横岳~赤岳~阿弥陀岳が広がる何とも贅沢なテント場です。
この日はテントは3張。
場所は選びたい放題なわけで、横岳が見える位置にテントを張りました!
ただし結局のところ、寒くてテントから出ることは、ほぼなかったのではありますが(笑)
行者小屋と横岳
横岳から赤岳(右)への稜線
中岳(左)と阿弥陀岳(右)
この日は寒気が下りて来ていて、テント場に到着した時の気温はマイナス15度!
すごく寒い時に嫌なのがテント設営(泣)
寒くて体が動かないし、お腹は空いてるしでパワーが出ず、テントを立てるのに一苦労。
やっとこさ、テントを張って食べたカレーが美味しかったー
さらにビールを片手に…
というのがいつものパターンですが、行者小屋が冬季休業中のためお酒は我慢しました。
やっぱビールを持って行くべきだったなー
冬季テント泊は寒くて外に出ることもないので、19時前には就寝。
24時頃に目が覚めて、テントの中から外を見たら星空がキラリ。
この日は月明りが弱く、星も良く見えました。
が、寒すぎてすぐにテントの入口を閉め、シュラフに潜り込みました(笑)
早朝に行者小屋から赤岳へGO!
朝の4時半過ぎに起床。寒くてなかなか寝袋の外に出られない(笑)
テント内の物はありとあらゆる物が凍っていました。
温かいココアをいただいて、体をシュラフから出しました。
アタックザックに必要な荷物を詰め込みます。
テント場を出発しようとしたら、ゲーターを付けていないことに気づきました(泣)
すでにアイゼンを付けていましたが、この先の積雪状況が分からないのでアイゼンを取ってゲーターを装着。
テント場出発は朝の5時半過ぎ。
まだ辺りは暗く、ヘッドライトの灯りを頼りに地蔵尾根を登っていきます。
行者小屋前から地蔵尾根を登る
地蔵尾根から見えた甲府?の街が明るかった
地蔵尾根はかなりの急斜面。
気が抜けない道が続きます。
階段は一部が雪に隠れていて足場を確保しづらく、歩きにくかったです。
一方、鎖場はまだ完全には埋まっておらず、手掛かりとなって助かりました。
地蔵尾根を1時間ほど登ると、森林限界を超え眺めが良くなります。
本日も天気は良く、阿弥陀岳、硫黄岳、横岳が綺麗に見えました!
それから、遠くには御嶽山、乗鞍から続く北アルプスの山脈がずらりと並びます。
疲れを忘れ、素晴らしい景色に見惚れていました。
阿弥陀岳(右)
中央やや左の硫黄岳と横岳(右)
西方奥には御嶽山(左)と右の北アルプス山脈
ここまで来れば、尾根に出る地蔵の頭まではもうすぐです。
ただし、まだ急斜面は続いて油断なりません。
慎重に進んで行きます。
急斜面を振り返る
急斜面を登っていくと
お地蔵さんが出てきてほっと一息
テント場を出て、約1時間半で地蔵の頭に到着!
東に広がる奥秩父の山々が目の前に、これから登る赤岳の雄姿。
さらに、その隣は雲海に浮かぶ富士山の姿が見えました!
地蔵の頭
奥秩父の山並みと右に雲海に浮かぶ富士山
これから登る赤岳と遠くに富士山
富士山のアップ
地蔵の頭から見る赤岳への稜線。
今からここを歩くと思うとテンションが上がります(笑)
この日は風もそこまで強くなく、快適に歩けました。
ちょうどこの時間は日が昇った直後で、北アルプスのモンゲンロートが美しかった!
ほのかな赤色に山が染まっていました。
北アルプスのモンゲンロート
穂高連峰(左)から槍ヶ岳(中央右)への稜線とモンゲンロート
少しして冬季休業中の赤岳展望荘に到着。
ここは風の通り道なのか、風が強かったです。
屋根についた風車のエビの尻尾が立派でした。
赤岳展望荘
赤岳展望荘を抜けた頃、奥秩父の山の情報に幻日と呼ばれる現象を見ました!
虹が縦に見えて、何とも幻想的な光景。
初めて見ました。
中央に見える縦の虹が幻日という現象
さて、赤岳の山頂はもうすぐです。
最後の一登り。
岩と雪のミックスの急登を登っていきます。
登り終えると、そこは赤岳頂上山荘。
ここも冬季は休業中です。
横岳方面を振り返ると、天狗岳の双峰がひょこっと頭をのぞかせていました。
いやいや、見事な景色です。
この辺りになると、若干風が強くなってきました。
赤岳頂上山荘
横岳方面を振り返る
天狗岳の頭がひょっこりと
赤岳の最高点へ向けて歩いていきます。
「赤岳到着!」と思わず叫びます(笑)
誰もいない赤岳山頂を独り占め。素晴らしい展望でした。
富士山に加えて、南アルプス、中央アルプス、権現岳。
ここに登れば名峰がいくつも見られます。
赤岳山頂と富士山
富士山のアップ
権現岳(手前)とその奥に南アルプス
権現岳、南アルプスのアップ
北アルプス方面
山頂からの景色を目に焼き付けて、下山を始めます。
帰りは文三郎尾根を使いました。
最初は岩の急な下りで慎重に歩を進めます。
文三郎尾根へ
山頂直下は雪と岩のミックス
山頂直下から赤岳の岩場を振り返る
この下りは権現岳の眺めが良く、南アルプスも見えて壮大です。
今年の3月に権現岳に登った時は、ガスっていたので晴れた時にまた登りたいなー
文三郎尾根に近づくと、目の前には阿弥陀岳!
ここから見る中岳から阿弥陀岳への稜線が美しかった!
冬季にいつか登ってみたい!
中岳(手前)と阿弥陀岳(奥)
時刻は八時半過ぎ。
文三郎尾根を下り始まめます。雪が積もっていて快適に歩けました。
ソロ、パーティーの方々とすれ違いました。
ずっと急登が続くので、ここの登りもキツそうです。
文三郎尾根の下り
文三郎尾根を振り返る
文三郎尾根から見る中岳と阿弥陀岳
下の方にテントを設営した行者小屋が見えてきました!
一部の階段は完全に雪に埋まっておらず、少し歩きにくさを感じました。
行者小屋が近づくと、木々が現われ始め、周りの景観が変わってきます。
木々の枝にどっさりと積もって雪の感じも素敵でした!
行者小屋が見えてきた
9時半前に行者小屋に到着!
朝は軽く行動食しか取っていなかったので、腹ペコの状態。
横岳を見ながらホワイトシチューをいただきます。
行者小屋に戻ってきた
ホワイトシチューを食べた
ごはんを食べ終えて気づいたのですが、左足のアイゼンがなくなっている!
「ガーン(泣)」
5分ほど、来た道は戻りましたが見つかりませんでした。
その後、下りてこられた方にアイゼンが落ちていなかったと尋ねましたが、
「見なかったなー」の声。
残念ながら片方のアイゼンを紛失してしましました。
まあ、事故が起こらず下りてこられただけで良し、とポジティブに考えました。
さて、テントを撤収して帰りの支度を始めます。
太陽の位置が高くなり、行者小屋にも日の光が入って雪の木々が輝いていました。
雪の行者小屋、赤岳に別れを告げる
行者小屋から美濃戸口へ
行者小屋を11時前に出ました。
帰り道は、行きに使った南沢を使いました。
きつかった登り道も帰りは楽々!
860メートルの標高差を軽快に下っていきます。
前日から雪も降っていないのでトレースもご覧の通りバッチリでした。
行者小屋を出て2時間で美濃戸山荘に到着!
足が蒸れて皮が剥がれそうな予感がしたので、ここで靴下を履き替え、ちょっと休憩。
美濃戸口まではもう少し!
美濃戸口には14時に着きました!
行者小屋からは3時間。帰り道はやっぱり早い。
美濃戸口の八ヶ岳山荘
この日もバスの運行はないので、タクシー会社に電話すると山荘に迎えに行くまで40分ぐらいかかるとのこと。
待っていると、行者小屋でアイゼンが落ちていなかったか尋ねた男性が下りてきて、
「他に下りてきた人にアイゼンについて聞いたけど、見た人いなかったよー」
と教えてくれました。
何とも親切でダンディーな男性。
アイゼンは見つかりませんでしたが、親切にも探してくださり、その気持ちに本当に感謝しました。
さらに「これあげるよ」と、その男性から八ヶ岳山荘のコーヒー券をいただきました。
「一緒にコーヒーを飲みながら、山話でも出来るかな」
と男性に続いて八ヶ岳山荘に入ったところで、タクシーから今着くとの電話が…
何とも残念でした(泣)
そんなこんなで雪の赤岳登山は終了。
最高の景色、アイゼン紛失、親切な男性との出会い。などなど思い出深い山行になりました!
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・テント泊登山「装備・持ち物リスト」(積雪期・無積雪期)エクセル・PDF
これは貴重な体験ですね
関東の寒さでヒーヒー言っている私には
とてもハードルが高い
ご飯が美味しそうだったなぁ
寒いところで食べる熱々の食事は最高ですよね
文章もいい、写真もいい
面白かったです
嬉しいコメントありがとうございます!
寒い中での温かいご飯は、本当においしく感じますよね(笑)