登山リュックの選び方(1)-容量・フィット感・リュックで異なる機能
登山ショップに行くとリュックコーナーにはたくさんの商品があって、「あれもいいなー、これもいいなー」と、目移りしちゃって困っちゃいます。
僕が理想の日帰り登山用のリュックに出会ったのは、登山を本格的に初めて6年が経ってからでした。
出会うのが遅すぎですが(笑)、値段も安くないですし、一度買ってしまうと次のリュックを買う機会はなかなかありません。
この記事では初めて登山用リュックを買う方、買い替えを検討している方に向けて、登山リュックの選ぶポイントについて書いていきます。
目次
- 登山リュックの容量について
- 日帰り・小屋迫登山なら30~35リットル
- テント泊は45リットル以上が目安
- 容量はリュックの側面に表記されている
- 登山リュックはフィット感が重要
- ヒップベルト
- 背面パッド
- ロードリフターストラップ
- チェストベルト
- その他の見るべきリュックの特徴・機能
登山リュックの容量について
登山リュックの容量は「リットル」で表記されます。
1リットルは1辺10 cmの立方体の体積なのですが、想像しにくいですよね。
次の表は、リュックの容量と登山内容をまとめたものです。
容量 | 登山内容 |
20リットル台 | 夏限定の防寒着が必要ない低山ハイク。 |
30~35リットル | 日帰り登山であれば年中使えるおすすめサイズ。小屋泊も可 |
45~60リットル | 道具が軽量なら45リットルでもテント泊可。通常は50リットル以上。 |
65リットル以上 | 長期テント泊用。冬季のテント泊用。 |
この表を元に詳しく説明していきます。
日帰り登山なら30~35リットル
春・夏・秋の雪の降らない季節の登山なら、20~35リットルの容量のリュック。
僕のおすすめは、30~35リットルのリュックです。
この大きさならダウンなどの防寒着やカメラも収納できる大きさです。
春・秋の無積雪期の高山、山小屋を活用したお泊り登山にも対応できます。
夏限定で、防寒着もいらない低山(1500メートルぐらいの高さ)までなら20リットル台でもいいです。
左がサロモンの20リットルのリュック。荷物を極力減らした日帰り登山で使っています。右はグレゴリーの35リットル。日帰り登山であれば年中使える大きさです。
テント泊は45リットル以上が目安
テント泊の場合は、45リットル以上のリュックが目安になります。
ただし、45リットルの場合は「超軽量の登山道具」をそろえる必要があり、お金がかかります。
僕は50リットルのリュックで2泊3日のテント泊を行いましたが、カメラなども持っていきましたのでパンパンでした。
通常の山道具であれば、
- 1泊2日は50リットル以上
- 2泊以上は65リットル以上
のリュックを用意すると安心でしょう。
冬季のテント泊を行うのであれば、65リットル以上は欲しいところです。
テント泊の場合はテントやシュラフ(寝袋)など荷物が増えますのでより大きい容量のものが必要です。
テント泊のリュックの選び方はこちらの記事を参考にしてください。
左からオスプレーの45リットル、グレゴリーの50リットル、グレゴリーの65リットル。
容量はリュックの側面に表記されている
ちなみに容量(リットル表記)は、登山リュックであればその側面に書かれていることが多いです。
また、インターネット等で商品が掲載されている場合、「リュック名+容量」というパターンで案内されています。
同じリュック名でも、容量が数種類あることがあるので注意が必要です。
左は46リットル、右は35リットルとなります。
カメラ、ビデオカメラなどの趣味の持物を持って行く場合は、その分プラスして考えましょう。
続いて、登山リュックを選ぶ際のポイントを説明します。
登山リュックはフィット感が重要
本格的な登山リュックは、重い荷物を効率的に運べるように工夫されています。
そして、より効率を高めるために、体へのフィット感を高める作りになっています。
このフィット感が最も重要です。
まずは、一般的なリュックと登山リュックを比べて、登山リュックがどのように体へのフィット感を高めているのか、その主なポイントを4つ紹介します。
(1)ヒップベルト
一つ目の大きな違いはヒップベルトです。
登山は荷物が重くなる傾向にあるため、一般的なリュックのように肩紐(ショルダーベルト)だけで荷物を背負う作りにはなっていません。
がっしりとしたヒップベルトがあり、これを腰に巻きつけることで腰と肩で荷物を背負い、重さが負荷分散されるように工夫されています。
登山用(左)、街用リュック(右)。登山用リュックにはヒップベルトが付属。これで重さが負荷分散されます。
ヒップベルトがあるのとないのとでは、全く感じる重さが違います!
登山リュックの場合は荷物は腰で背負うと思ってください。
肩じゃなくて、腰です!
ここの作りがとても重要になります。
厚み・クッション性があって、腰をがっちり掴むようなヒップベルトになっているかが選ぶポイントです。
(2)背面パッド
二つ目は背面パッドです。
先ほど登山リュックは腰で背負うと書きましたが、その分、腰への負担が大きくなります。
そのため、腰から背中にかけてその作りに特徴があります。
左の登山リュックは背面にパッドがあり湾曲した形になっています。
人間の体はお尻・腰から背中にかけて湾曲しているため、登山リュックの背面パッドも体の形に合わせて湾曲しているものが多いです。
このことでよりフィット感が増すようになっているんです。
また、背面パッドはクッション性があって、体の負担を軽減する作りになっていることが多いです。
(3)ロードリフターストラップ
フィット感を高める3つ目の特徴はロードリフター(ストラップ)です。
この機能は、街で使うリュックにはほとんど付いていないです。
ショルダーベルトの上部から伸びて、ショルダーベルトにつながっています。
左の赤丸で囲んだ部分がロードリフター
ロードリフターを引っ張ることで、背中とリュック背面部との隙間を埋めてフィット感を高めています。
この効果は一見しただけでは想像しづらいと思います。
そこで、子どもをおんぶしているところを想像してみてください。
子どもの手がロードリフターです。
子どもが手を離した状態だと、子どもの体が揺れて不安定な状態になりますよね。
あなたは子どもが落ちないように、「首に手を回して!」と注意することでしょう。
その原理と同じです。
ロードストラップがあれば背中にリュックをフィットさせることができ、安定した歩行が可能になるというわけです。
(4)チェストベルト
四つ目の特徴はチェストベルトです。
これがあると、ショルダーベルト(肩紐)が左右に動くことを抑えます。
チェストベルトは街で使うアウトドア志向のリュックでも付いていることがありますが、登山リュックはある工夫がされています。
それは、チェストベルトの位置を自由に決められること。
胸筋・胸の厚みは人によって違います。
自分の体にフィットするようにチェストベルトの位置を調節することができるようになっています。
登山リュックは各ベルト・ストラップを正しく調整しなければ、その効果を最大限に活用できません。
詳しくは、「登山リュック(ザック)の背負い方・調整方法を説明する」の記事をご覧ください。
ここまで、登山リュックがよりフィット感を高めるような作りになっていることを、一般的なリュックと比較して見てきました。
復習になりますが、リュックを選ぶ時は下記の4つのポイントを必ずチェックしましょう。
- ヒップベルト
- 背面パッド
- ロードリフターストラップ
- チェストベルト
それでは、続いてその他の登山リュックの特徴を見ていきます。
◆関連記事
・登山初心者が知っておきたい10のこと
・(夏・春・秋)登山・トレッキングの服装・レイヤリングの基本
・僕の日帰り登山の「持ち物・装備」を詳しく写真で紹介する
その他の見るべきリュックの特徴・機能
登山リュックには、山行時に快適になるように色々な位置にポケットがあったり、レインカバーやハイドレーション機能がついていたりします。
ポケットの形状や素材、レインカバーの有無などはリュックによってあったりなかったりします。
ポイントをおさせて、リュック購入時の判断材料としましょう。
サイドポケット・水筒用ポケット
登山時は大量に汗をかくので、こまめに水分を取る必要があります。
そのため、登山リュックではすぐに水筒やペットボトルを取り出せるように、サイドに水筒用のポケットが付いています。
その取り出しやすさも、リュックによって多少の違いがあります。
左のリュックは歩きながらでも水筒が取り出しやすいように、横からも出し入れできるポケットになっている。
歩きながらでも取り出しやすいように、横向きにポケットが付いているリュックもあります。
ただし、横から出し入れするタイプだとリュックから水筒が落ちやすくなるデメリットもあります。
また、サイドポケットはトレッキングポール(ストック)をしまうことにも使います。
ヒップベルトポケット・トップポケット
使用頻度の高いポケットとして、ヒップベルトポケットとトップポケットがあります。
ヒップベルトポケットは行動食を入れ、歩きながらでもすぐにエネルギー補給ができるようになっています。
ゼリー飲料などの割とかさばる行動食を入れる場合は、大き目のポケットがあると便利です。
ヒップベルトと同じくリュック上部にあるトップポケットも使用頻度が高いです。
ここにはコンパス・手袋・財布・予備の行動食など、使用頻度が高くないけれど休憩時などにすぐに取り出したいものを入れることが多いです。
左がヒップベルトポケット。右がリュック上部にあるトップポケット
背面ポケット
背面ポケットには、「登山中に使うこともあるかなー」ぐらいのものを入れるといいです。
例えば、タオルや地図など。
この部分もリュックによって作りは様々ですし、このポケットがないリュックもあります。
あなたが山を歩いてどのような行動をしているか想像して、どのようなポケットを選ぶといいか考えてみましょう。
左は透けているので何がどこにあるのか確認しやすい。右は中身は見えないが防水性が高く強固な作りになっています。
レインカバー
雨天時にリュックを覆うレインカバー。
リュックによってはレインカバーが付属しているので、カバーを買う必要がなくなります。
ハイドレーション機能
最近の登山リュックには標準装備されていることが多いハイドレーション機能。
別途ハイドレーションパックは購入する必要があります。
水が入ったパックをリュックに入れ、そこから外にチューブを伸ばして水分を補給することができる機能です。
リュックの内側にハイドレーションパックを入れるポケットがあります(黄色の矢印)。ここから赤の矢印の穴を通してチューブを外に出します。
さて、ここまでは登山リュックの容量の決め方、選ぶ際の見るべきポイントや特徴について書いていきました。
次の記事では、軽量リュック、登山リュックの失敗しない購入方法について書いていきます。
>>登山リュックのベストな選び方(2) – 軽量リュック・失敗しない購入方法
[カリマー]中型トレッキングザック ridge40 type2 Steel Blue(スティールブルー)
GREGORY(グレゴリー) スタウト30 ネイビーブルー
[ミレー] リュック SAAS FEE 30+5 MIS0640 Cactus Mサイズ
私もスタウト35とバルトロ持ってます(笑・・・バルトロは85ですが!
スタウトに関しては現行モデルよりこれの方が断然使い易いと思います
あと雪山日帰り用にミレーアイガー30とホグロフスサミット45を使う予定で買いました(サミットは使いましたが、ミレーは雪山行ってないのでw)
サミットは先日天狗へ行った時使ったのですが、私の体にはベストマッチでした!
雪山とロック専用みたいなところがあるので、外にポケットとか無いですが全く気になりませんでした。
機会があったら試してみてください。
あと、ポールもREKIのまったく同じやつ使ってます(緑の)
こんにちは! スタウトとバルトロ持っているとは(笑)
冬季用はもう10キロぐらい大きいものを買うことを考えていますが、やっぱり最初はバルトロに目が行っちゃいますね。
ホグロフスサミット45は、写真で見たけどカッコいいですね!好きなデザインです!
が、結構お高いですね。
今度、ザック買う時に候補にしようかなーと思います。