僕が冬山・雪山登山で感動したのはその景色!
空気が澄んでいて遠くまで見渡せるため、素晴らしい景色を見ることができます。
また、雪山となると白銀の世界が広がり、同じ山でも夏山では見れなかった景観が広がります。
でも、冬季登山は雪で道が隠れたり、低体温症リスクが増したりと無積雪期とは違った危険性があります。
冬季登山では、新たな知識・技術が必要です。
この記事では僕が冬山・雪山登山を実際に登ってみて学んだことを書いていきます。
12月に雪の北横岳を登る。気温は零下10度を下回った
冬季登山では肌を汗で濡らさないようにし、体温を温かく保つことが大切です。
適切な服装で登山に臨み、適切な道具を準備しましょう。
■冬季登山は3層のレイヤリング
基本はベースレイヤー、ミドルレイヤー、アウター・シェルの3層レイヤリングです。
ベースレイヤーは綿はNG! 下着もしかりです。
汗で濡れたベースレイヤーは、水分が冷えて低体温症の原因になりかねません。
ベースレイヤーの素材は長袖のメリノウールか化繊のものを選びましょう。
上り坂では汗をかくようであれば、アウターは脱いでもいいです。
ただし、風が強い場所では体温が急激に下がりますので、アウターを着るようにしましょう。
厳冬期の谷川岳では吹雪に見舞われた。パタゴニアのソフトシェル、R2フリース、ベースレイヤーを着用
また、服装はタイト過ぎるものは避けましょう。
ある程度、空気の層がある方が温かい状態を保てます。
また、服装がタイトだと血液の循環を阻害して、温かい血液が循環することを妨げます。
冬季登山ではパンツもレイヤリングしましょう。
一番下にはタイツを履き、その上にロングパンツを履きます。
さらに、風が強い場所や雪が深い場所では、その上からレインパンツかオーバーパンツを履きましょう。
パタゴニアのR2フリースジャケットは、冬季のミドルレイヤー(中間着)としておすすめです。
温かいけど、通気性もあります。
森の中ではベースレイヤー+R2ジャケット、森林限界を超えて風が強くなったら上にハードシェルという着こなしをよくしています。
パタゴニア公式サイト メンズ・R2テックフェイス・ジャケット
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■靴下・手袋・帽子は予備を準備
靴下・手袋・帽子は予備のものを準備し、冬季に適したものを選びましょう。
靴下の素材はメリノウールがおススメです。
また、汗で靴下が濡れると足先が冷たくなり、凍傷の原因になります。
予備の靴下を準備しておきましょう。
また、レイヤリングソックスを履くことも効果的です。
厳冬期でかなり寒いところを行く場合は、スマートウールの靴下がおすすめです。
これは冬季登山してる人は持っている人多い商品です。分厚くて温かい。
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手袋は冬季用の厚手のグローブを準備しましょう。
厳冬期用の手袋は2層以上の構造になっているものが多く、インナー手袋が取り外せて、中綿素材で防寒性を高めています。
靴下と同じく、汗で指先が濡れてくると凍傷のリスクが高まるので予備は必須です。
ブラックダイヤモンド(Black Diamond) ソロイスト
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帽子は耳まで覆えるニットキャップにしましょう。
また、風で帽子が飛ばされることを顧慮して、予備を準備しましょう。
ものすごく気温が低い場所であれば、バラクラバもあった方がいいです。
できるだけ、肌が露出することを避けることが大切です。
■ゲイターを履く
雪が靴に入ることは、何としても避けなければなりません。
長めのゲイターを準備しましょう。
また、冬季は手袋をしても着脱が容易な、ベルクロ(マジックテープ)式のものがおススメです。
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■ヘッドランプを忘れずに
冬は日の入りが早くなります。
例えば、関東では16時半前に日の入りする日があります。
こうなると、周りが山に囲まれた登山道では15時を過ぎると暗くなってくることも。
ヘッドランプを忘れずに持って行きましょう。
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■インサレーションウェアを携帯する
冬山では休憩して動きを止めると、一気に体が冷えてきます。
ダウンジャケットなどのインサレーションウェア(防寒着)を携帯しましょう。
防寒着は万が一遭難した場合にも、夜を過ごす心強いアイテムとなるはずです。
パタゴニア公式サイト メンズ・フィッツロイ・ダウン・フーディ
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■冬山の専用靴
冬季登山では温かい専用の靴を履きましょう。
冬用の靴は保温性を上げるために厚みがあり、裏地が起毛になっていたりします。
足先は最も凍傷になりやすい部位ですので、適切な登山靴を履きましょう。
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■アイゼン・ピッケル・ストック
雪山ではアイゼンが必要になります。
また、急峻な雪山ではピッケルが必要になるでしょう。
事前に行きたい山の情報を調べ、どのような道具が必要か確認しておきましょう。
雪道ではストックの先に付けるバスケットが大き目のものを選ぶといいです。
雪をしっかりとつかみ、歩行をサポートしてくれます。
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■サングラス・ゴーグル
雪山では太陽光が良く反射し、雪目になることがあります。
雪目になると目がくらんで、視界が効かなくなります。
サングラス、またはゴーグルを準備しましょう。
ゴーグルは曇りやすいです。
吹雪きの中を歩かないのであれば、サングラスがおススメです。
冬山では気温が低いため、体が体温を保つために多くのカロリーを消費します。
また、夏山のように目立つことはありませんが、汗をかくために水分を適切に取る必要があります。
■行動食は多めに用意する
カロリーが高い行動食を多めに用意しましょう。
冬山では多くのカロリーを消費されることを意識することが大切です。
行動中も歩きながら定期的に食べましょう。
気温が零下を下回ると行動食が凍って食べられなります。
ジャケットの内ポケット等に入れて温めておくといいです。
■ごはんが食べられない可能性を考慮する
冬季の山では寒すぎて、休憩をしてごはんを食べることができない可能性があります。
そのような時のために行動食は多めに用意しておきましょう。
ごはんを食べる場合、厳冬期ではおにぎりなどのお米類は凍って食べられません。
また、カップラーメンはお湯が冷めてしまいます。
クッカーで直接煮込んで食べられる料理がいいです。
■零下の登山では水が凍る
零下を下回ると飲料が凍ります。
ウォーターボトルを持って行く場合は水を満タンにせず、歩いている時にザックの中で水が常に揺れるようにしておきます。
そうすると凍りません。
また、ザックの中は、背中から伝わるの熱のおかげで幾分か温かいです。
飲み物はできるだけ、ザックの中に入れるようにしましょう。
ペットボトルなどの飲み口が狭い入れ物は、そこが凍る可能性が高いです。
また、ハイドレーションパックなどは、ホース内に付着した水が凍ってしまいます。
飲料を携帯するときは、ナルゲンのボトルなど、飲み口が大き目のものを選びましょう。
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■山専用サーモスの水筒がいい
サーモスは、ステンレス製魔法瓶のメーカーです。
その製品の中で、山専用のボトルが販売されています。
この水筒は、普通のサーモスの水筒以上に長時間に渡りって飲み物を保温します。
冬季登山でおススメの一品です。
冬山では常温か温かいものを飲むように心がけましょう。
冷たい飲み物は体温を下げるため、体温を上げるためにカロリーを消費してしまいます。
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体温が正常な値より低くなると、筋肉や脳の正常な機能が失われます。
これが低体温症です。
低体温症の知識を持っていれば、事前の予防、初期症状の察知と対策が可能になります。
■低体温症の症状例
低体温症の怖いところは、本人には自覚症状がないところです。
症状が進むと思考が鈍くなり、もはや自分自身では対処できなくなります。
ですので、事前の予防がとても重要になります。
■低体温症の予防
先にも書きましたが、低体温症の症状が進行しても本人にはその自覚がありません。
登山仲間と冬季登山をする場合は、その仲間の言動にも気を配りましょう。
低体温症については、下記の本が詳しいです。
冬季登山をする前に一読することをおススメします。
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ここからは、冬山・雪山の初心者向けにその歩き方、ルート選びについて書いていきます。
■初めての雪山選び
もし、雪山を経験済みの登山仲間がいる場合は、初心者向けの山に一緒に連れて行ってもらいましょう。
一緒に行動することで、多くの知識も得られることでしょう。
もし、そのような仲間がおらず、単独で登る場合は登ったことがある低山から始めましょう。
関東近辺だと、丹沢の大山や塔ノ岳がおススメです。
降雪直後を見計らって、挑戦してみましょう。
これらの山は、冬季も登山道が無積雪期と同じで、登山者も多いため比較的安心して登れます。
もう少し、寒々とした本格的な雪山に登りたい場合は、北八ヶ岳の横岳の往復ルートがおススメ。
途中までケーブルカーで登れるため、体力的にも易しいです。
ただし、過去には滑落による死亡事故も起きているので、気を抜かないようにしてください。
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■コースタイムは長めにとる
アイゼンを付ける雪山登山では、夏に比べて体が重くなり歩くペースが遅くなりがち。
また、山によっては積雪期に急登の道が多くなり、体力が必要とされます。
コースタイムは、まずは夏山の1.5倍ぐらいをみておきましょう。
■冬は行動時間が短い
冬は日の入りが早いです。
16時を過ぎると日が傾き始めます。
早朝の行動を心がけるとともに、ヘッドランプなどの照明器具も忘れないようにしましょう。
■穏やかな晴れの日を選ぶ
2月に登った快晴の硫黄岳
雪山では晴れの日を選んで行きましょう。
雪が降ったり、風が強い日には登山を中止・撤退する勇気が必要です。
風雪が強くなると想像以上に寒く、低体温症のリスクが高まります。
また、ホワイトアウトにより視界不良、トレースの消滅により遭難の危険性が増します。
■休憩は短めに
冬季登山では休憩は短めにしましょう。
長い間、体を動かさずにいると体温が下がり、後の行動に影響がでるかもしれません。
短い休憩であればザックを下ろさないようにしましょう。
背中から体が冷えるのを防ぎます。
また、雪の上に直接座ると濡れる原因になるので止めましょう。
■汗をかきすぎないようにする
汗で肌が濡れることは体温低下、低体温症の元になります。
できるだけ、汗をかかないように急ぎ過ぎず、一定のペースを保って歩くようにしましょう。
■電池の消耗が早い
寒いと電池の消耗が激しくなります。
携帯電話、カメラなどもその類です。
携帯電話などはジャケットに入れて人肌で温めておきましょう。
その場合、汗で濡れるので、防水性能がない携帯電話はビニール袋等に入れて保護しましょう。
■雪山ルートを知る
積雪期には一般的な登山ルートとは違うことが良くあります。
事前に本を読んだり、インターネットで良く調べましょう。
登山者が少ない山だと、降雪直後は雪道の足跡(トレース)が消えていることがあります。
そうなると、冬山初心者にはお手上げです。遭難を防ぐためにも潔く撤退しましょう。
また、登山中にも強風でトレースが消えることがあります。
そのような時のために、最低限の地図・コンパスの使い方は覚えておく必要があります。
厳選 雪山登山ルート集 登山者必携のオールカラー最新ガイド集(八ヶ岳、日本アルプス、北海道から九州まで日本を代表する初・中級ルート50本満載)
■雪山道具の使い方を知る
アイゼン・ピッケルなどの雪山道具は、正しく使えてこそ意味があります。
アイゼンを使った登り、下りの歩行方法、ピッケルでの滑落防止。
必要最低限の知識を身に着け、雪山で実践して経験を高めていきましょう。
下記の本は雪山入門として、懇切丁寧に書かれているのでおススメです。
■冬山の気象・地形・雪崩を知る
ホワイトアウトに見舞われた谷川岳
雪庇の張りだした権現岳
冬季登山では知っておくべきことがたくさんありますが、冬山の気象・雪山の地形もその一つです。
冬山ではものすごい強風が襲ってくることがあります。
また、天候が急変して雪に見舞われることも。さらには、雪崩に会うリスクもあります。
雪庇を踏み抜くと、生きて帰れない可能性が高いでしょう。
事前のインプットが気象を読む力を高め、遭難を防止に役立ちます。
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■遭難に備える
雪山で遭難すると、氷点下の夜を過ごすことになるかもしれません。
防寒着、バーナー、エマージェンシーシートなどは最低限持ち歩きましょう。
さらに、ツェルトや簡易シェルターがあると安心です。
雪洞の作り方も事前に調べておきましょう。
僕はほぼ単独で冬山、雪山に登ります。
理由は、山仲間が無積雪期しか登らないから。
このような人は多いのではないでしょうか。
冬季に単独登山をすることは、いくら知識を身に着けて経験を積んでも無積雪期と比べてリスキーです。
理由をいくつか書きます。
怖いのは遭難ですね。
僕は幸いにも滑落したことはありません。
ただ、ホワイトアウトや吹雪き、トレースの消滅は経験しました。
一瞬あせります。生きた心地がしません(笑)
でも、大事なのは冷静さを保つこと。
そんな時は少し立ち止まって、心を落ち着かせます。
正しく状況を判断し、次に適切な行動をすることが大切です。
あせって闇雲に行動すると、それこそ終わりです。
最後に僕が単独で冬山・雪山に登るために「意識していること」、「心構え」を書いて終わりにします。
以上、冬山・雪山について書いてきました。
少しでも参考になれば幸いです。
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View Comments
今晩は〜
八ヶ岳南麓の我が家は朝晩氷点下になる日もやって来ました!
いよいよ待ちに待った雪山シーズン到来ですが、山好きさんはスノーシューとかワカンを使う事はないですか?
私は今どちらを買おうか悩んでいるところなので、もし使っているならレビューをあげて貰えると助かります!
こんばんは!
スノーシューは黒斑山で一回使ったことがあるぐらいですかね。
降雪直後の場所とかではワカンはたまに使いますよ!
イメージではスノーシューはあまり坂が急でないところに持っていくイメージですかね。
スノーシューの板の大きさにもよりますが…
ワカンはスノーシューほど浮く力は大きくないと思いますが、小さいので携帯に便利です。
アイゼンも必要な場所なら、ワカンとの相性がいいイメージです。
まだ、レビューできるだけの経験がないですねー すみません…