僕が登山に魅了されるきっかけとなったのは、ごはんでした。
僕の登山仲間を見ていると、登山にはまるきっかけは様々で、登山が好きな理由も違ったりします。
山頂からの壮大な景色、山の空気に癒される、ストレス発散、スリリングなところ、植物や動物などなど。
山登りはいつでも誰でも始められ、そして年老いても続けられます。
ただ、登山は自然が相手。
時には予測不可能なことが起こりえることも頭に入れておきましょう。
この記事では、登山の初心者が知っておきたい10のことを書いていきます。
「自分のレベルに合った」というのは、二つ意味があります。
一つ目は、「体力的に」という意味です。
普段からジョギングをしている人でも、登山となるとばててしまうことは良くあります。
平地を走るのと、登山のように荷物を背負って道を登り下りするのとでは使う筋肉が違います。
加えて、山を歩くにはコツがあり、それを知ることで楽に歩けるようになります。
ですので、体力に自信のある人でも、初心者向けの山から登ることをおすすめします。
>登山の歩き方のコツ – 疲れにくい歩き方
「自分のレベルに合った」が意味する二つ目のことは、「登山の知識」です。
例えば、同じ山でも登山道は無数にあり、山頂から東西南北と全く違う方向に道が伸びていることは多くあります。
もし、地図を上手く見れないと、自分が思っていた方角とは違う方向に歩いていて、最悪の場合は道に迷うこともありえます。
他にも行動食や飲み物の取り方、雨や雷に遭遇した時の対応方法など知っておきたいことは山だけに山ほどあります(笑)
まずは、初心者向けの山に登り、少しずつその知識を増やしていきましょう。
もし、関東の住んでいる方であれば、最初におススメする山は神奈川県の丹沢にある大山、東京の奥多摩にある御岳山です。
どちらの山も人が多く、体力に自信がない場合はケーブルカーを利用可能。
大山は山頂からの相模湾の眺めが素晴らしく、また富士山を見ることができます。
御岳山は、滝や山中に流れる川沿いを歩ける場所が魅力的です!
>関東から日帰り登山!電車で行けるおすすめの山を紹介する
行きたい山が決まったら、地図を購入することをおススメします。
登山地図にはルートや参考タイムだけではなく、お花が綺麗なポイントなど登山を楽しむための情報が記載されています。
最近ではスマホの登山地図も普及していますが、万が一、電池切れになることを考えると登山地図が無難です。
>「山と高原地図」を持って登山に行こう!
それから、インターネットで行きたい山の山行記録を調べましょう。
ただし、同じ山でもルートは無数にあり、人が少ないルートは避けた方がいいです。
人気の山の場合、付近の鉄道会社が人が多いおすすめのルートをホームページに記載しているので、まずはそこから歩くルートを絞りましょう。
大山の場合は、大山ケーブルカーのホームページ、御岳山の場合は、御岳登山鉄道のホームページが山行になります。
写真付きの山行を見ると道が分岐する場合にどちらにいくべきか、お昼ごはんはどこで食べたか、など多くの情報がえられます。
その登山記録と地図を見比べて頭に入れておくと、当日の山行がスムーズになります。
また、電車やバスで山に向かう場合は、どの時間の電車に乗るか、バス停はどこかきちんと調べておきましょう。
週末に行く場合、平日とは交通機関の電車・バスの運行時間が違う場合があるので注意が必要です。
加えて、帰りのバスも要チェックです。
「下山したらバスがなかった!」
なんてことにならないように、バスの時刻表を携帯電話にダウンロード、もしくは写真を撮って保存しておくといいです。
登山は晴れた日に行きましょう。
登山の予定を立てて、山行日に行くことを止めるという決断は悲しいことですが、悪天候時の山は恐ろしいことになりえます。
雨は夏でも低体温症や、滑って怪我をする可能性を高めますし、土砂崩れが起こることも考えられます。
登山日が近づいてきたら山の天候をチェックし、出発前にも確認しましょう。
僕が天候を確認する時に使うサイトは、「てんきとくらす」です。
日本全国の山の天気予報が一週間前か確認でき、直近の天気であれば3時間ごとの天候もチェックできます。
加えて、山頂の気温も確認できます!
これはかなり精度が高く、山行になります。
山頂の気温を確認し、当日の服装を選びましょう。
最初の登山は、登山経験者と一緒に山に行くことができれば安心です。
ルートや道の歩き方を知っているだけでなく、服装や食料についても色々教えてくれるでしょう。
周りに登山をしている人がおらず、一人で行く場合は、情報収集や事前準備をしっかりと行いましょう。
初めての登山が単独の場合は、先述の丹沢大山、奥多摩の御岳山、高尾山などがおすすめです。
ケーブルカーを使わずに麓から登れば、東京にいながらにして豊かな自然を体感できます。
それに、晴れていれば山頂からは富士山が見れます!
登山は朝早くに出発することが基本です。
お昼から登るなんてことは止めましょう。
早朝に出発するには理由があります。
登山初心者の場合は、自分の体力が把握できていません。
どれぐらいのスピードで歩けるか分かっていませんので、コースタイムがどれぐらいになるか判断できないでしょう。
早朝に出発すれば、歩くのが辛くてゆっくりと歩いたとしても余裕ができるでしょう。
余裕がないと、焦って登山を楽しめませんし、道迷いや転ぶ危険性も高まります。
日が落ちると山の中は足元さえ見えないぐらい真っ暗闇となる
もう一つは、山には灯りがないということ。
山は木に覆われているため、夕方前には暗くなってきます。
また、日の光が入りにくい谷間であれば、もっと早くに暗くなります。
暗くなると、足元が見えず滑落することも考えらます。
そんな時のために、ヘッドライトを準備しておきましょう。
>登山用ヘッドライトのベストな選び方
11時~12時には山頂に着くようにし、15時~16時には麓に着いているように計画を立てましょう。
多くの登山者はこのような山行計画を立てています。
最初から高価な登山用ウェアは買う必要はありませんが、登山では綿製品はNGだということを覚えておいてください!
登山では大量の汗をかきますが、綿は汗を発散させないため、体にまとわりついて歩行の妨げになります。
また、気化熱によって体温を奪うため、体調不良の原因にもなります。
この体温を下げるというのが、一番怖いことです。
登山には、ポリエステルなどの化学繊維のものを選んで着ていきましょう。
化学繊維の服は汗を発散し、体をドライに保ちます。
ランニングウェアであれば、安価な商品もたくさんあります。
> (夏・春・秋)登山・トレッキングの服装・レイヤリングの基本
それから登山の三種の神器の一つ、レインウェアを携帯しましょう。
これも、登山専用の物は高価。
まだ、登山を本格的にするかどうかわからない人は、数千円のものでもいいです。
レインウェアを選ぶ場合は、上下セパレート式のものがおススメ。
ポンチョなどの裾の長いものは、裾を踏んで転倒したり、木の枝に絡まる可能性があり危険です。
>登山用レインウェア(雨具)の選び方
山では雨・風が大敵です。
雨・風をしのげる場所がないと、どんどん体温を奪われて低体温症になりかねません。
過去には夏の山で低体温症にかかり、死亡事故も起きています。
レインウェアは雨だけでなく風からも身を守る防御服となります。
必ず準備しましょう。
先ほど、登山の三種の神器としてレインウェアについてお話しました。
残りの二つは、リュックと登山靴です。
ちなみに、登山界ではリュックのことをザックと言います。
登山用語はドイツ語が多いのですが、ザックはドイツ語の「リュックザック」から来ています。
では、ザックについて。
もし手元にリュックがあれば、最初はそれを使っても問題ありません。
飲み物、食べ物、レインウェアが入る大きさであれば大丈夫です。
もし、本格的に登山をするのであれば、登山リュックは大きな味方になるでしょう。
街中で使うリュックとザックとでは構造が違い、重い荷物でも体の負担が少なく、長いこと背負えるようになっています。
ザック選びのポイントはフィット感!
特にヒップベルトの作りが、重要になってきます。
詳しくは、「登山リュック(ザック)のベストな選び方」をご覧ください。
もう一つの神器は登山靴です。
初心者用の山であれば、運動靴でもいいでしょう。
その際、なるべく靴底が分厚いものを選んでください。
「なぜ、底が分厚い靴がいいのか?」
登山道は石ころが多く、また岩の上を歩くこともしばしば。
靴底が柔らかいと、その衝撃をもろに足裏に受けてしまい、とても足の裏が疲れます。
少し大げさに例えるなら、登山道は足つぼの健康器具の上を歩くのと同じです。
長い時間歩くと、とても辛くなってきます。一度登山道を歩いてみると分かりますよ。
登山靴は靴底が厚く、またソールが堅くできています。
登山靴は足裏の負担を少なくし、快適に歩けるようになっているんです。
本格的に登山を始めるのであれば、選びに選んだいい登山靴を買いましょう。
いい登山靴であれば3~4年、ソールを張り替えればさらに長く履くことができます。
>登山靴のベストな選び方 – 山行内容に合わせて靴を選ぼう
三種の神器を紹介しましたが、その他にも便利な登山道具があります。
いくつか紹介します。
一つ目はトレッキングポールです。
使い方にコツがありますが、慣れると歩行時の推進力を上げ、登り下りともに大きな力になります。
また、下山時に筋肉が疲労して脚がプルプル震えたり、膝を痛めたりするのを軽減してくれます。
> トレッキングポールの選び方
もう一つは登山用の料理道具!
山頂で食べるごはんは格別ですが、料理道具があるとその過程も楽しめちゃいます。
担いできた水をバーナーで沸かして、カップラーメンを食べる。
百数十円のカップラーメンが最高のごちそうに感じます!
> 登山で使う料理道具のベストな選び方
その他、登山の道具については「僕の日帰り登山の「持ち物・装備」を詳しく写真で紹介する」をご覧ください。
登山にはまると、この道具選びも楽しんですよねー
お金がどんどん飛んでいきますが(笑)
登山者にとっては当たり前の山のルールをいくつか紹介します。
山では人とすれ違ったり、追い抜いたりした時に挨拶をします。
最初は慣れないかもしれませんが、とても気持ちのいいものです。
ルールを守って、みんなが気持ち良く登山をできるように心がけましょう。
登山で怖いのが遭難です。
そして、遭難で一番多いのが道迷いです。
滑落などの遭難も、道迷いから焦りが出て起きるケースが多くあります。
「遭難なんて自分には起こらない」なんて考えてはいけません。
関東の人には身近な奥多摩の山でも、毎年のように山岳事故が100件、死者・行方不明者が10人前後出ています。
道迷い時に携帯の電池が切れていたら…
考えただけでも恐ろしいですね。
携帯電話の予備の電池は必ず準備し、山行当日は携帯電話をフル充電しておきましょう。
最後になりましたが、とても重要なことを書きます。
先ほど、登山の遭難で道迷いが多いことを書きました。
万が一、道に迷い携帯電話の電池が切れていたり、もしくは携帯が繋がらなかった場合でも、誰かに登山のことについて伝えていれば助かる可能性が高まります。
誰にも伝えていなければ、登山に行っていることも知らないのですから、助かる見込みは低くなります。
誰かにLINEのメッセージなどで伝えるのもいいですし、書置きをするのでもいいでしょう。
その際、どの山に登るかだけでなく、どのルートを行くかもできるだけ詳細に書いておきましょう。
山にはルートが無数にあるため、細かく書いておけば発見される可能性が高くなります。
羽根田治さんの遭難シリーズ本を読むと、誰かに山行について伝えておくことの重要さが分かります。
自分の身を守るためにも、家族を悲しませないためにも、必ずどの山に行くか自分以外の人に知らせておきましょう。
◆関連記事
・【前編】趣味のなかった僕が登山の魔法にかかったお話 – 登山にはまり、単独テント泊を行う