僕は今、9割が単独行(ソロ登山)です。
最初から単独行だったわけではなく、元々は会社の登山部の仲間と一緒に日帰り登山を楽しんでいました。
僕は登山にどっぷりとはまっていき、それからテント泊に興味を持つようになりました。
でも、仲間はそうでなく、日帰り登山が中心。
そして、テント泊を始めたのことがきっかけとなって、単独行が多くなっていきました。
こういうパターンで単独行をするようになる人は多いのではないでしょうか。
僕は登山の魔力に取りつかれました(笑)
「夢中」という言葉がぴったり。
週末にどの山に登ろうか、連休はどこに行こうか、そればかり考える日々。
「もっと高い山に登りたい!」
「もっと奥深い所に行きたい!」
「日本アルプスに登ってみたい!」
でも、同行する仲間がいない… 一人で山に登ってみるか、と。
それが僕が単独行をするようになったきっかけです。
最初は一人で登山をすることに不安がありましたが、一人で山に登り始めると、逆に単独行でないと味わえない魅力にも気づくようになりました。
仲間とたわいない話をしながら山に登るのも楽しいですが、単独行もそれに劣らず楽しいんです。
単独行のいいところ。
まず、思い浮かぶのは「自分の行きたい山に行ける」ということです。
登山への情熱が人それぞれ。
他の人と一緒だと、山までのアクセス時間や難易度によっては一緒に行ってくれないことがあります。
一方、単独行だとそこは自分次第。
自分が行きたい!と思った山に行けちゃいます。
また、山に入ってからも周りの人を気にする必要はありません。
ゆっくり歩こうが、速く歩こうが自由です。
休憩の頻度・長さも自由。
僕にとって単独行が嬉しいのは、自分のペースで歩けること。
カメラや動画撮影が趣味なので歩くのが遅いのですが、一人であれば誰にも文句を言われず、好きなだけ撮影ができます。誰かに気を遣うこともありません。
単独行では、「どこの山に行くのか」、「歩くスピード」など、自由に決められることは多々あります。
が、これらの計画を自分ひとりで立てなければならないのも単独行。
例えば、次のようなことを自分で事前に確認したり、計画を立てる必要があります。
初めて単独行をすると、
「今までの登山は、周りの人に助けれていたんだなあ」
と、気づきます。
駅への集合時間、そこからのバスへの乗り継ぎタイミング、山頂でご飯を食べるためにどれぐらいのスピードで歩かなくちゃいかないとか、色々と考えてくれていたんだなと。
計画を立てることは最初は慣れないので大変ですが、これがとても楽しいんです!
自分で決めた登山計画をやりとげることで、登山の知識や経験も格段とパワーアップします。
自分の成長が喜びになり、さらに登山が楽しくなります。
「事前準備で登山本やインターネットで情報を収集する」
「登山当日の天候を予測し、装備を考える」
「山行中、道が怪しくなったら地図を眺めたり、人とお話して確認をする」
こういうことを繰り返すと、登山、山というものがより深く理解できるようになります。
単独行についていいところばかりを書いてきましたが、逆に危険なこともあります。
怖いのは遭難です。
単独行では自分一人の知識・経験に頼ることになります。
一方、グループ登山だと登山の知識や経験を共有することができます。
今歩いている道が正しいかどうか自信がない時、登山仲間は正しい道を知っているかもしれません。
下山中に足をねん挫した時、仲間はその対処方法を知っているかもしれません。
道に迷った。
どうやら歩いていたのは獣道。
そういう時、次にどのような行動をとるべきか仲間は知っているかもしれません。
秋の高山を歩いていると急に雪が降ってきた。
あなたは雪山の経験がない。
こういう場合にどうすべきか仲間を知っているかもしれません。
これがグループ登山のメリットの一つです。
単独行では遭難を防ぐために、積極的な知識の吸収が求められます。
僕はたくさんの本を読みました(今も読み続けています)。
羽根田治さんの遭難本シリーズ、山岳気象の本、登山のルートガイド、低体温症の本などなど。
おすすめなのは、遭難本。
人の失敗から学ぶことは非常に多いです。
予め様々なリスクを想定して、山行計画を立てられるようになります。
ドキュメント 単独行遭難 (ヤマケイ文庫)
山岳気象大全 (山岳大全シリーズ)
◆関連記事
・登山好きにおススメの本を書いていく
・テント泊登山の計画の立て方・心構え(予備日・エスケープルート・撤退)
地図を見る習慣も身につけておきましょう。
それから、これから行く山の地図も何回も見返して、そのルートを頭に叩き込みましょう。
インターネットでの情報収集も重要です。
これから行くルートと同じルートを登っている人の記録を探しましょう。
地図だけでは読み取れない情報がそこには多く載っているはずです。
また、「過去1週間以内」というように条件を絞って検索し、直近の登山記録を見てみましょう。
最新の登山道の状態、山の気温など多くの有用な情報が手に入ります。
さて、遭難の対策として、知識の吸収が重要だと書いてきました。
それに劣らず重要なことがあります。
それは、決断力・判断力です。
例えば、「登山中に風雨が強くなってきた」ところを想像してみてください。
グループ登山だと他の人もいるので、「無理をせずに撤退しましょう」という決断はそんなに難しくありません。
それは、自分の判断で他人の命を危険にさらすことが嫌だからです。
ところが、一人登山ということになると事情が変わります。
「誰にも迷惑はかからないし行ってしまおう、多分大丈夫だろう」
「何かあっても自分の責任だし、まあ何とかなるだろう」
このような安易な気持ちが芽生え、グループ登山と比べてリスキーな行動への敷居が低くなります。
「単独だとリスクのある判断をしがち」
ということを頭に入れておきましょう。
そして、あなたが何か判断をする時は、
「もし、今大切な人と一緒だったら、同じ判断・行動をするか」
ということを考えてみてください。
もし、答えが「NO」ならその判断は間違っていることになります。
登山に命をかけることはありません。
少しでも危険を感じたら、それを止める決断力。
それがとても大切なことです。
View Comments
こんにちは
私も単独専門です!
理由は、長い間体調不良に悩まされ体力が落ちて、多少良くなったので、山に行き始めましたが健常者には付いていけないからです。
人の2倍3倍の時間をかけて登っています(笑
つい先日は、人生初の遭難、滑落、ビバークを経験してきましたが、単独登山は、何かあった時大勢の方に迷惑かける事になるので、慎重に行きたいですね!
こんにちは!
体調不良から復活して山登りを始めたんですね!
うーん、僕ももし今後、体調不良になったとしたら、このコメントが励みと希望になりそうです。
>人の2倍3倍の時間をかけて登っています(笑
たしかに、体調不良からいきなり普通のスピードでは歩けないですし、一緒に行く人のことも考えちゃうと単独が気が楽なんですかね。
(笑)僕も人の2倍ぐらいかかることもありますよ。僕の場合は撮影するのに時間がとられることもありますが、体重が急激に増えていることです(笑)
この3年で6キロほど肉をこしらえて、「今日からダイエットしよう!」と思っていたら、3年が過ぎていました(笑)
ただ、ゆっくり登るようになって山・自然・植物などをゆっくりと見て、耳を傾けるようになりました。同じ山でも今まで見えていなかったことが見えたり、新しい発見があって僕は今のようにゆっくりと歩くのが好きです。
>つい先日は、人生初の遭難、滑落、ビバークを経験してきました
これは、かなり大変のことを経験されましたね!生還されて、無事で何よりです。良かった。
僕はちょっとした道迷いはしたことありますが、滑落・ビバーグは未経験者です。
そういうエピソード、一登山者としてはとても参考になるので、どこかでブログで書かれるといいと思いますよ(見てみたいです)。
出発してから、遭難・滑落までの山行の様子とか、滑落後・ビバーグ中の心境や反省点など…
僕は遭難ブログをよく見ていて、反面教師にしています。
コメントありがございました! お気をつけて、登山を続けてください。体調がどんどん良くなることを祈っています!