1日目:黒部五郎岳に登る(折立~薬師峠キャンプ場) -北アルプステント泊縦走
2日目:黒部五郎岳に登る(薬師峠キャンプ場~黒部五郎岳~黒部五郎小舎) -北アルプステント泊縦走
3日目の朝。
テントから出ると、凛とした笠ヶ岳とご挨拶。
昨日はくたくたになって、どうにか小屋までたどり着きました。
今日も昨日と同じく長いこと歩くことになります。
双六小屋までの道では、どんな景色に出会えるのでしょうか。
テントから出ると、黒部五郎小舎テント場から笠ヶ岳がくっきりと見えた
3日目:黒部五郎小舎(6:00)~三俣蓮華岳(9:25)~双六小屋(13:25)
朝の5時過ぎ。
周りのテントを張った方々は徐々に出発を始めていました。
僕は今日は双六小屋まで行程なので、ゆっくりと出発準備に取り掛かります。
朝食は行動食で済ませ、テントを撤収。
小屋の向こうには、うっすらと薬師岳が見えました。
日が昇り始めると、周りの景色がより色鮮やかになっていきます。
昨日登った黒部五郎岳の片隅がちらっと見えました。
小屋の裏側にある「三俣・双六」の標識を確認して、本日の登山がスタートです!
まずは、大きな岩が階段のように並ぶ道を登っていきます。
息が上がらないようにゆっくりと登ります。
最初は木々に隠れていた周りの景色が、登るにつれて徐々に姿を現し始めます。
やっぱり気になるのは黒部五郎岳(笑)
何度も振り返っては、その山容をしばし眺めます。
今日は昨日に比べて雲が多く、薬師岳、笠ヶ岳と周りの山の頂上付近にはどんどんと雲がかかっていきます。
それでも風は穏やかで、気持ちのよいお天気!
道はいつしか樹林帯を抜け、眺めの良いハイ松に囲まれた道に変わりました。
何度見ても見飽きない黒部五郎岳を背にして登っていきます。
1日目、2日目見た姿とは違い、黒部五郎岳らしい山頂から深くえぐれた様子がかっこいい!
それでいて滑らかで尖っていない、どの山にも似つかない山容。
うーん、飽きません(笑)
雲ノ平から見る黒部五郎岳もいいのですが、この三俣蓮華岳へ向かう道から見る黒部五郎岳は一級品です!
モミジカラマツ
そして、高山植物も多く、可愛らしい花を見つけては写真をパチリ。
疲れた体に癒しを与えてくれます。
太陽の高度が上がり、時間が経つにつれて雲が多くなってきました。
「今日は抜群の眺めとはいかなそうだなー」
樹林帯を抜けると黒部五郎岳はより一層大きな姿になった
ハイ松の道を通って三俣蓮華岳へ向かう
それでもこの道はとても楽しい。
笠ヶ岳を横目に歩き、振り返れば黒部五郎岳!
それから遠くにどでかい薬師岳と数々の名山。
それらの山々をなだらかな道のおかげで、余裕を持って眺めながら歩くことができます。
それからたくさんの美しい高山植物たち。
僕のお気に入りの道になりました。
笠ヶ岳と美しい稜線
雲がかかり始めた笠ヶ岳
三俣蓮華岳への道はとても歩きやすく、険しい場所も皆無と言っていいほど。
ただし、強風・大雨時には逃げる場所がないので、注意が必要そうです。
三俣蓮華が近づいてくると、ザーっと音が聞こえてきます。
三俣谷を流れる水の音です。
峻険な沢を水が流れるのがわずかに見えました。
三俣谷
そして、三俣蓮華岳への稜線上で、本当に素敵な場所がありました。
そこは…
一面がチングルマだらけ!
白く小さな花の時期は終わっていましたが、ピンクや白の可愛らしい産毛をはやしたチングルマがそこかしこに咲いていました!
こんな大群を見るのは初めてで、これにはかなり興奮(笑)
ふわふわとした毛が、風に揺られる様は幻想的な光景でした。
夢のような花畑を通過すると、三俣蓮華岳の標識が登場。
この辺りから、風が出てきてフリースでは寒かったので、シェルを着ることに。
ここからは北の方角に雲ノ平が近く、小さく雲ノ平山荘も見えました。
歩を進めると、三俣蓮華岳が段々と近づいてきました。
長ーく続くハイ松の道を歩いていきます。
この頃になると雲はより一層深くなり、三俣蓮華から双六への稜線はガスっていました。
黒部五郎岳も頂上がちょっと雲にかかった状態に。
雨が降りそうな感じはなかったのですが、ちょっと嫌な雰囲気になってきました。
黒部五郎岳の山頂にも雲がかかる
この稜線は富山県と岐阜県の境界になっています。
左手には深い黒部源流域。そこから急な角度で盛り上がって広がる雲ノ平。
そんな景色を見ながら歩いてきます。
雲はいよいよ濃くなって、鷲羽岳、水晶岳も雲の中に。
途中ちょっとしたトラバースがあり、雪がある時は注意ポイントのようですが、僕が通った時は道には雪はありませんでした。
トラバースを通過する
三俣山荘と三俣蓮華岳の分岐を右に行き、三俣蓮華の山頂へ向かいます。
もうすぐ山頂です!
この辺りも高山植物の宝庫で、色々なお花を見ることができました。
もう少し早い時期だと、もっと素敵な光景が見れるのでしょうか。
可憐なイワツメクサ
ヒメウメバチソウ
ミヤマリンドウ
通過したトラバース。道には雪はなかったが、側には雪少し残っていた
時刻は9時半頃。
黒部五郎小舎を出発して3時間半かかって、三俣蓮華岳の山頂に到着!
三俣蓮華岳の東側はモヤがすごくて、残念ながら抜群の景色とは言えず…
そして、ここに到着した頃にはヘトヘトに(笑)
体力の低下を実感しましたね。
三俣蓮華岳山頂から眼下に見えた双六小屋への巻き道
双六岳へ延びる稜線
山頂の標識。三俣蓮華岳の標高は2,841メートル
三俣蓮華岳の山頂でごはんにしました。
曇ってはいるものの、うっすらと見える燕岳。
ザックをほっぽり出して、ごはんの準備に取り掛かります。
お昼は牛飯。
朝は行動食だけで済ませたので、お腹はペコペコ。
涙が出るほど美味しい(笑)
加えて温かいキノコのスープをいただきました。
ここで、一人のオレンジ色の鮮やかなハードシェルをまとったご高齢の方とお話しをしました。
「重そうな荷物だねー どこから来たの?」
「俺も若かったらそれくらいの荷物を背負えたんだけどなー」
など、何気ない会話から始まりました。
僕がこれからどこに行くのかと尋ねると、
「今日は水晶小屋に登って、明日は赤牛岳へ行くんだ。」
何でも北アルプスの山々を登りつくし、主要な山の最後が赤牛岳なんだとか。
すごい人がいるもんです!
会話が終わり、彼は三俣山荘の方へ。
僕はごはんを食べ終えて、双六小屋へ向かいます。
双六小屋へ稜線を行く
三俣蓮華岳から双六小屋への稜線はお花がたくさん咲いています。
ここも素敵な稜線。
東から西へ風に吹かれて雲が流れていきます。
去年もここを通った時はガスっていましたっけ(笑)
紫色が鮮やかなイワギキョウ
形が可愛いトウヤクリンドウ
ゴゼンタチバナ
先ほど、お昼休憩したばかりなのに、すぐに休憩(笑)
連日重い荷物を背負って歩いているため、足の裏の疲労がたまっていました。
足の裏は長時間歩行すると、靴下が湿って皮膚が柔らかくなって痛んできます。
靴と靴下を脱いで足を乾かしました。
休憩後、双六小屋へ向けて再び歩き始めます。
去年は双六岳へのルートを取りましたが、今回も去年と同じくガスっていたので中道の稜線分岐を下り、巻き道を使うことにしました。
稜線を下りて巻き道へ
稜線と比べると巻き道はかなり楽かと思っていましたが、そんなことはなくちょっとしたアップダウンが続きます。
三俣蓮華から双六小屋は近そうで中々遠いんです。
ふと振り返ると、時折、雲の隙間から鷲羽岳が顔を出してくれました。
「あそこの下りは結構急だったなー」
と去年の山行を思い返したりしました。
ビビッドカラーのトリカブト
歩き続けていると、樅沢岳が見えてきました。
樅沢岳の手前に双六岳があります。小屋はもうすぐ!
急な下りに差し掛かると、双六小屋の赤い屋根が見えてきました!
13時半前に双六小屋に到着!
黒部五郎小舎から6時間半かかりました。時間かかりすぎ(笑)
3時間前におひるを取ったばかりですが、ここで祝杯をあげることに。
双六小屋前から見た鷲羽岳
小屋で頼んだのは、ラーメンと生ビール!
疲れた体に生ビールはお薬です(笑)
食欲が満たされるのと同時に安堵の気持ちが相まって、幸せのひと時。
ごはんを食べ終えて、テント場へ。
これが結構な強風で、テントを張るのに一苦労しました。
いつもは割と適当に張っているテントを(笑)、風で飛ばされないように丁寧に設置します。
そして、テントに入った直後から天候が大雨に…
強風・雨の中でテントを張るのはとても辛い作業になるので、運が良かったです。
この雨は長く続き、この日はお昼からテントの外に出ることはありませんでした。
4日目(最終日):黒部五郎岳に登る(双六小屋~新穂高温泉) -北アルプステント泊縦走