黒部五郎岳に登る(薬師峠キャンプ場~黒部五郎岳~黒部五郎小舎) -北アルプステント泊縦走

1日目:黒部五郎岳に登る(折立~薬師峠キャンプ場) -北アルプステント泊縦走
 
素晴らしい星空を見れた前日の夜は、それにしても寒かった(笑)
沢に近いからなのか、このテント泊山行で一番寒かったです。
 
2日目の朝。
4時過ぎに眠たい目をこすりながら起床。
今日は憧れの黒部五郎岳へ!
 

早朝の薬師沢キャンプ場
 

コースタイム

2日目:薬師沢キャンプ場(5:00)~北ノ俣岳(7:30)-黒部五郎岳-(12:05)~黒部五郎小舎(15:30)
 

薬師沢キャンプ場を出発


 
薬師沢キャンプ場を出発する頃にはくっきりと黒部五郎岳の姿が見えました。
尾根に上がってみると、ものすごくいい天気!
西には雲海が広がり、薄いブルーの空が広がっていました。
 

尾根から薬師岳を振り返る

 
太郎平小屋まで戻ってきました。
いよいよ、黒部五郎岳に向かって気持ちのよい稜線歩きがスタートです!
 

 

太郎平から見た空。美しい水色の空に、薄い雲がかかった素晴らしい景色だった
 
太郎平小屋からすぐのところに、薬師沢黒部五郎岳の分岐。
雲ノ平に行くには薬師沢方面に進み、黒部五郎岳へは行くにはまっすぐ進みます。
 
黒部五郎岳まで9.6km…
実際、テントを担いでいる身としては、ものすごく遠かったです(泣)
まあ、あの雲ノ平への地獄の直登に比べれば体力的には楽でしたが。

 
右手に地平線いっぱいに広がる雲海を眺めながら、「何て素晴らしい朝なんだ」と感慨に耽りながら歩いていきます(笑)
鳥の可愛らしい鳴き声を聴き、とことこと木道を進むと、山岳部らしき5-6人の学生の集団が雲海に見入っていました。
 

 
背中に温かさを感じて振り返ると、薬師岳の背中から太陽が昇ってきました。
木道脇に広がる草原がオレンジ色に染まっていきます。
かすかに揺れるススキと相まってとても美しい景色でした。
 


 
さて、ここからまずは北ノ俣岳へ登っていきます。
ふと、太陽に見とれていると背後から男性に
「縦に虹が出てるね、珍しいねー」
と声を掛けられ、指さす方向を見てみると、
 

 
年の冬の赤岳でも見た幻日でした!
今回で幻日を見るのは2度目でしたが、結構見れるもんなんでしょうかね。
 

振り返って太郎平小屋方面。小さく小屋が見える。右に大きく見える山は薬師岳
 
右に左に飽きることない絶景を見ながら歩いてきます。
ふと気が付くと木道が終わっていて、岩が散らばる道に変わっていました。
一つ小さな坂を上り終えると、目の前に北ノ俣岳が見てきました。
 

右に見えるのが北ノ俣岳。一番左が黒部五郎岳
 
ここまで来ると黒部五郎岳が目の前に大きく見るようになります。
が、目の前に見える黒部五郎が遠いことと言ったら(笑)
 
ここからは割となだらか道で、気持ちのいい尾根歩き。
黒部五郎の右手には笠ヶ岳がひょっこりと見えるようになります。
 

 
そして、朝露に濡れるピンク色のチングルマに心癒されます。
白い花が散った後のチングルマも好きですねー
 

 
北ノ俣岳山頂まではもう少し!
ハイ松の間に伸びる道を登っていくと、山頂に到着!
山頂は2,661メートルです。
 


 
山頂は360度見渡せます。
北アルプスの名だたる名峰、水晶岳、鷲羽岳、槍ヶ岳が遠くに。
来た道を振り返ると薬師岳の姿。
 

 

北ノ俣岳から黒部五郎岳へ

ザックを置いてちょっとばかり休憩したら、黒部五郎岳に向かいます。
今日は長く歩くことになるので、あまりゆっくりや休めません…
 
北ノ俣岳から黒部五郎岳に向かう道からは、これまた景色がすごかった!
百名山が横にどん、どん、どん、どんと4つ並びます。
 

左から黒部五郎、笠ヶ岳、乗鞍岳、御嶽山。黒部五郎の左の槍ヶ岳を合わせると5つかな(笑)
 
この眺めは、黒部五郎山行のハイライトの一つでした。
事前にルートは綿密に調べていたものの、こんな光景を見ることができるなんて思ってもみませんでした!

左手には水晶岳(写真真ん中)、鷲羽岳(水晶岳の右)が見えた。水晶岳の手前は雲ノ平
 
ここからもずーっと気持ちのいい稜線歩き。
ですが、テント泊装備を背負っている身としては、なかなか辛い。
地味なアップダウンがあり、結構疲れてきました。
 

 
北ノ俣岳から黒部五郎岳へ途中に赤木岳というちょっとしたピークがあります。
大きな岩がゴツゴツした山なのですが、ここで生まれて初めてオコジョを見ました!
 
茶色の小さな小動物は、ささっと素早い動きで岩とハイ松の中を動き回っていました。
好奇心が強いのか、こちらに気づいてもすぐには逃げません。
可愛かったなー
 
ものの10秒ぐらいの対面でしたが、動きが素早すぎて写真は撮れませんでした(残念)
北アルプスで鳥以外の動物に出会ったのは、これが初めての経験でした。
 

オコジョに出会った赤木岳の岩場

 
赤木岳の標識には「この付近雷鳥多い」との文字が。
今回の山行では残念ながら雷鳥は見れませんでしたが、オコジョは雷鳥のヒナを狙うらしいので、この辺には雷鳥が多いのでしょうか。
 

来た道を振り返る。素敵な稜線

ちょっとした湿原もあった
 
赤木岳を下っていき、中俣乗越というところで20分ほど休憩。
靴下を脱いで、足を乾かします。
 
時刻は9時。
朝のスタートからすでに4時間が経過。黒部五郎岳は遠い…
 

休憩がてら地図でコースタイムを確認
 
いよいよ、黒部五郎岳の登りに取りつきます!
重い荷物にここの登りは脚にきました(笑)
それでも、眼前に迫ってきた鷲羽岳や水晶岳を見てパワーをもらい、一歩一歩登っていきます。
 

鷲羽岳

こちらはいつか登りたい水晶岳

黒部五郎岳への登り
 
ゴロゴロした岩場を登り詰め、いよいよ山頂が近づいてきました。
何でも、深田久弥の百名山によると黒部五郎岳の名前の由来は、岩がゴロゴロしているからだそうです。
 

山頂はもうすぐ
 
そして、憧れだった黒部五郎岳の山頂に到着!
ちょうど、イワヒバリがぴよぴよと鳴いていて、僕には登頂を祝ってくれたように聞こえました(笑)
山頂は東側がスパッと切れていて、かなりの迫力。
そして、素晴らしい景色。
 

山頂から見た鷲羽岳(左)三俣蓮華岳(右)

槍ヶ岳(左)と穂高連峰(右)

槍ヶ岳のアップ

立山方面の眺望

笠ヶ岳方面
 
ここでゆったりお昼休憩…
とはいきませんでした(笑)
 
時刻は12時。朝から歩いて7時間。
時間がかかったのは太ったから、はたまた体力が落ちたからか、のんびり歩きすぎたのか。
休憩はカールの下で食べることにし、山頂を後にしました。

黒部五郎岳の東側部分
 

黒部五郎岳から黒部五郎小舎へ

山頂から黒部五郎小舎へ行くには2つのルートがあります。
一つは北側の稜線ルート。
もう一方は、今回選択したカールを下るルート。
今回この道を選んだのは、単にカールからの絶壁を見たかったからです。
 

カールを下る

遠くにはこれから向かう黒部五郎小舎が見えた
 
なかなか急な道を下っていきますが、危険な箇所はありません。
間もなくカール下部に到着。
そこからの眺めは圧巻の一言。
切り立った岩壁が迫力満点です。
 
ここには雪解け水が流れていて、それそれは冷たくて気持ち良かったです。
軽く体を拭いて、ごはん用の水を汲みました。
 
周りは様々なお花が咲いていて、素敵なところでした。
そんな場所でお昼タイム。

 
本来であれば、ゆったりと気を休めながら休憩したかったのですが、今回はそうもいきませんでした。
かなり疲れていたんです。体力も限界に近付いているのが分かりました。
天気は良いものの、暗くなる前に小屋に着きたいと思っていたのでお昼も20分ほどでパパっと済ませました。
 
 

黒部五郎小舎へ向かう
 
さて、このカール、岩壁もすごいのですが辺りに広がる景色もすごかったです!
巨大な岩が転がる様はまるで異世界。
去年歩いた、雲ノ平の雰囲気にそっくりでした。
 
車ぐらいの大きさの岩、大きいものは大型トラックを凌ぐ大きさのものが転がっています。
地上では出会えない光景がそこにはありました。
 
 

ひときわ目立った巨大な岩

カール下部から岩壁を振り返る

巨石が転がる広場を抜けていく
 
チョロチョロと流れる沢を飛び越え、ちょっとした樹林帯を歩いていきます。
終始危険な場所はありませんでしたが、決して歩きやすい道ではありませんでした。
疲れた体には結構きつかったです。

 
そして、林を抜けると小屋が見えてきました!
山頂からはくっきり見えた小屋なのに遠かったー
ほっと一安心。
 
 

 
小屋は木造でレトロな感じ。
手続きを済ませてテント場に向かいます。
テント場は小屋から100メートルぐらいの距離です。
 
 

 
疲れた体に鞭打って、テントを設営。
そして、小屋で買ったコーラをいただきました。
いやー、最高に美味しかった(笑)
 

テント場に着いた頃にはガスが立ち込めていた

 
そして、夕方になったらごはんタイム。
この日はパスタとコーンスープをいただきました。
疲れた体に温かい食べ物は身に染みるー
 

 
テント場に着いた頃には辺りがガスっていました。
疲れもあってテントの中でシュラフに包まってウトウトしていたのですが、何やら外がザワザワしていたのでテントから外に出てみると…
 

 
目の前に雲海に浮かぶ笠ヶ岳。
「黒部五郎小舎に来て本当に良かった!」
と、そう思わせる光景でした。
笠ヶ岳もいつか登ってみたいなー
 

 
そして日が沈む頃、小屋まで行き、今日登ってきた黒部五郎岳を振り返りました。
ここからは黒部五郎岳の一部しか見れなかったのですが、その一部だけでもそのゴツゴツとした山容は美しかったです。
 

 
しばし黒部五郎岳を眺め、テント場に戻って眠りにつきました。
 
3日目:黒部五郎岳に登る(黒部五郎小舎~三俣蓮華岳~双六小屋) -北アルプステント泊縦走
 

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