テント泊登山の計画の立て方・心構え(予備日・エスケープルート・撤退)


テント泊を楽しく、そして安全に行うためには山行前の計画・準備が重要になってきます。
日帰りの登山を重ねて山に慣れてきた方でも、テント泊を初めて行う場合はより慎重になることが必要です。
この記事ではテント泊を計画するにあたって基本的な知識、行動時の心構えについて書いていきます。
 

目次

 

ルートの決め方

登ろうと思っている山にはいくつかルートがあるかもしれません。
登山本などを参考に自分の体力にあったルートを選びましょう。
 
見るべきポイントはテント場(山小屋)の場所です。
まずは地図を見て登山口からテント場までの標高差・歩行時間を確認しましょう。
 
初心者の場合は、1日で千メートルを登るなんてことは止めておきましょう。
日帰り登山ではできても、重い荷物を背負って山を歩くことは想像している以上に体力・経験が必要です。
まずは、初日のテント場までの標高差が500~700メートル程度、歩行時間が3~4時間ぐらいのルートをおすすめします。
 
また、地図を見てルート上に「水場」があるか確認しておきましょう(水場が枯れていないことをネットで調べておきましょう)。
水場がない場合は、水を多く背負うことになるので体力が必要になります。
ほとんどの山小屋では水を購入することができるので、水の量を減らすことを検討しましょう。
 
◆関連記事
初めての登山テント泊 – テント場・ルートの決め方と道具・服装について
 

予備日について

行く山、山行日数を決める際は予備日を設けましょう。
悪天候によるテント場での足止めや、体力不足・体調不良による遅れなどを考えて、1日程度下山が遅れても大丈夫なように計画を立てます。
 
予備日を設けないと、
「下山後に仕事があって遅れることができない」
「新幹線の予約を入れているので下山しなければ…」
などの理由で悪天候でも当初の計画を実行することになってしまいます。
 
過去には飛行機を予約していたため、悪天候の中を無理に下山して遭難・死亡したケースも見られます。
飛行機・新幹線などの交通機関を予約する場合は、1日を観光に充てるぐらいの余裕を持った計画を立てるといいです。
 

エスケープルートについて


 
テント泊登山では数日の間、山に入ることになります。
予期しない悪天候、体調不良に見舞われることもあります。
 
もし、縦走登山をする場合は「エスケープルート」を設けておきましょう。
いざとなったら、予定を変更し下山することも視野に入れておきます。
テント場から山をピストンするような場合も、地形などを事前に調べて悪天候時に引き返すポイントを決めておきましょう
 

遭難対策について

遭難の一番多い原因は「道迷い」です。
地図とルート、目印となる場所までの歩行時間をしっかり頭に入れておくことが重要です。
歩行時はこまめに地図を取り出して、ルートに間違いがないか確認する癖をつけましょう。
 
これから行く山は人が極端に少なかったり、登山道が不明瞭だったり、目印のテープがほとんどないかもしれません。
自分の力で道を進めるように最低限、地図とコンパスの使い方の基礎を覚えておきましょう。
 
山岳地形と読図 (ヤマケイ・テクニカルブック 登山技術全書)


 
絶対にしておきたいのは、これから登る山の過去の遭難について調べておくことです。
ネット上には道迷いをした人の記事が載っていることがあります。
どのようなところで迷ったのか、滑落したのかを参考にして登山に臨みましょう。
 

撤退という決断

遭難対策の一つに「撤退」の決断があります。
これは山行中エスケープルートを使うことかもしれませんし、登山前に山行を取りやめることかもしれません。
 
日帰り登山時に比べてテント泊では事前準備に多くの時間を割いているため、撤退の決断はとても辛いものになります。
交通機関を予約してお金を払っている場合はなおさらです。
 
それでも、体調不良・悪天候が予想される場合は勇気を持って撤退しましょう。
僕は甲武信ヶ岳でテント泊登山をした時、テント場で携帯の充電が切れ、充電池が充電されていないことに気づき、エスケープルートで下山した苦い思い出があります。
また、テント泊ではありませんが木曽駒ケ岳では登山口のホテルに泊まりましたが、悪天候のため撤退を決めました。
 
不思議なことに一度撤退した経験を持つと、その後の撤退の決断はそれほど辛いものではなくなります。
そして、撤退という決断に誇りを持てるようになります。
山で命を落としては絶対にいけません。命あってこその登山です。
 

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