日本最初の山岳クラブ、日本山岳会の設立を提唱し、そのきっかけをつくったウォルター・ウェストン著の本作品。
400ページを超える大作で、登山記だけにとどまらず、日本人と山について、日本人と言う民族の考察などの一面も持った本です。
登山記については、ウェストンが20世紀前半に日本に滞在した際のことが書かれており、対象の山は主に日本アルプスになります。
南アルプスの北岳や鳳凰山、北アルプスは穂高、大天井、常念など。それから、富士山についても書かれています。
面白いところは、外国人から見た当時の日本の山、日本人が色んな切り口で見られるところ。
特に山小屋の主人や、道案内をする人たち(山岳ガイドではなく猟師など)、荷物を運ぶ手伝いをする強力(ごうりき)と呼ばれる人たち、そうした人々との出会って感動したこと・嬉しかったこと、残念だったことが素直に書かれていてとても興味深いです。
登山の前に立ち寄った当時の村人との出会いも書かれていて、「こんなに親切な人もいたんだなあ」とか色々な気づきがありました。
当時はまだ、現代のように登山がレクリエーションとして流行し始めた頃で、山道なんてない時代です。
猟師に案内されながら、山頂を自分たちの感や経験で登っていく姿は圧巻です。
北アルプスや南アルプスに登ったことがある人なら、当時の山の様子と比較できるのでより一層楽しめると思います!