梅里雪山(メイリー・シュエシャン)を知っていますか?
この山が有名なのは一つに未だに未踏峰ということと、もう一つはかつて登頂に挑んだ日中合同の登山隊17人が行方不明となる大惨事に見舞われたことによります。
雪崩で死亡したと思われる登山隊は忽然とその姿を消したのでした。
この登山隊の日本側からの参加者は、京都大学山岳部のOBや学生からなっていました。
著者の小林 尚礼さんは当時の京都大学の山岳部。
その後、梅里雪山への再挑戦の登山隊員となります。
しかし、ここでも登頂までわずかというところで敗退。
それから月日が流れ、遭難から7年が経ったある日、日中合同の登山隊の遭難者が氷河の中から次々と発見され始めます。
小林尚礼さんは遺体捜索を行うため、チベットの村に住み始めます。
梅里雪山を聖山として崇める地元の人と交流を行っていく内に、小林さんの梅里雪山に対する考え方が変わっていきます。
この本は遭難本ではないです。
小林さんの体験を通して、地元の人にとって梅里雪山とは何かを知ることができます。
文化、宗教、暮らしの中心にある梅里雪山。
そんな山を小林さんと地元の人の交流を通して知ることができる貴重な本です。
この本を読んだら、梅里雪山へ巡礼の旅に出かけたくなりますよ。