角幡唯介さんの「漂流」を読みました。
400ページを超える大作です。読み応えがあります。
ノンフィクション本ですが、今までに書いた「空白の五マイル」や「アグルーカの行方」のように彼自身の探検をまとめた話ではありません。
この本の主役は、沖縄県は宮古島の佐良浜という漁村の出身の本村実という漁師です。
彼は船長としてグアム島付近でマグロ漁を行っている最中船が沈み、約一か月もの間フィリピン人船員とともに漂流し、約千キロを流されたあとに救出されます。
角幡さんはそんな彼の存在を知り、漂流についての本を書くために取材を申し込むのだが、何と…
これは、本村実という漁師と佐良浜という特殊な漁村の物語です。
角幡さんらしい自然と人、生と死という観点を取り入れて物語は本村実という人物の核心に迫っていきます。
取材は沖縄や佐良浜の漁師や漁業関係者にとどまらず、本村実と一緒に漂流したフィリピン人、彼らを助けた人などフィルピンまで飛んで行われます。
その彼ら・彼女らの発言をもとに話がまとめられているのですが、取材はかなり大変だったんだろうなと思います。登場人物の多さがそれを物語っています。
この本の面白いポイントは色々あるのですが、僕が一番面白かったのは佐良浜という漁村の栄枯盛衰の歴史です。
角幡さんらしく緻密に下調べがされ、取材を行いその歴史を紐解いていきます。
ダイナマイト漁、沈船漁りと爆弾爆発による死亡事故、数千・数億円稼いだ漁師たちの派手な乱費、そこからの転落人生…
そこには今まで知らなかった戦後日本の一つの姿が映っていました。
僕は初めてこのような漁師に関する本を読みました。
漁師も漁も様々なので、皆が佐良浜の漁師と同じような生活・文化ではないと思いますが、死と隣り合わせの漁で生活を営む漁師たちは、地上で生活する僕らとはその考え方や生き方が違うのかもしれないなと思いました。
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「漂流」を読んであなたと同感です.この冬期間夜は、布団の中で角幡唯介氏の本を読んで夜中の部屋の寒さに(暖房消しているので、超凍えるほど頬や本を持つ腕、両手が冷たく)露出部分に毛布等動員して掛け、海の中より、峡谷より、まだこの布団の中の方かましなのだと
と震えつつも自身に言い聞かせ ”空白の五マイル”と ”ツアンポー峡谷”と”漂流”を読み終えました。
佐良浜の漁村に及ぶと愕然させられますね、地図を広げぜひそこに一度行ってみたい初動にかられている、私77歳、ウンまだ情熱すこしあり佐良浜を探し出し一段落して納得で来たら次を読もう
薔薇の入れ墨
佐良浜を探せ、見つけないと前に進めぬで。フム沖縄次宮古島市、伊良部佐良浜とたどると、出た
昔見たフランス映画だ ”太陽がいっぱい”のラストシーンがダブルほどに変身している漁村の郷愁が
そこに写っていた。この地にいざなう唯介氏の力筆に感服する、それにひきかえ塚田一郎の忖度発言
自民党はバカの集団、こんなのに税金払っている日本人もだらしない、佐良浜の漁村を思い起こせ。